16世紀末の信仰画か=国内最古級、和紙にキリスト-横浜市歴史博物館で公開

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神奈川県大磯町の「沢田美喜記念館」で収蔵していたキリシタンの信仰画について、研究機関が調査した結果、キリスト教の日本伝来から間もない16世紀末に描かれた可能性が高いことが分かった。信徒への迫害が強まったこの時期の信仰画はほとんど残存しておらず、専門家は「初期のキリスト教信仰の様子を伝える貴重な史料」としている。横浜市歴史博物館(横浜市都筑区)で、23日から公開が始まった。

信仰画は縦22センチ、長さ320センチの巻物で、和紙に墨で描かれている。キリストと聖母マリアの生涯が「受胎告知」や「受難」など15の場面に分けて描かれ、ラテン語の祈りの言葉がかな文字で書かれた記述もあった。

人物ははかま姿で、腰に日本刀のようなものをひもでつるすなど、当時の日本の習俗を描写。日本人信徒が西洋宗教画を模写し、祈りに使ったとみられるという。末尾に「御出世以来千五百九十二年 はうろ」と記され、西暦1592年に「パウロ」という洗礼名の信徒が描いたことを示唆している。

研究機関が放射性炭素により和紙の年代を測定した結果、1556年から1633年に作られたと判断された。共同調査した同館の井上攻副館長は「場面を描いたものと祈りの言葉のいずれもが一つの作品となっているものは初めてで、書体からも最古級の信仰画だ。上質でない紙に墨で描かれ、庶民的な印象を受ける」と話している。

キリスト教が日本に伝来したのは1549年。豊臣秀吉が1587年にバテレン追放令を出し、1612年には江戸幕府が信仰を禁じている。記念館は隠れキリシタンの遺物を幅広く収集しており、資料を整理する中で見つかったが、入手経路は不明という。

沢田美喜記念館所蔵品で、国内最古級とみられることが分かったキリシタン信仰画の一部(横浜市歴史博物館提供)

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