あおり運転の男に懲役23年求刑=東名夫婦死亡事故-横浜地裁

社会

神奈川県大井町の東名高速道路で「あおり運転」を受けた車の夫婦が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた無職石橋和歩被告(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が10日、横浜地裁(深沢茂之裁判長)であり、検察側は「常習性も顕著で、安心安全な自動車社会の実現のためにも、被告の行為は決して許されない」として、懲役23年を求刑した。判決は14日。

危険運転致死傷罪の上限は懲役20年で、検察側はこの事故の前後に石橋被告が起こした強要未遂事件などとともに悪質性も踏まえて求刑した。弁護側は最終弁論で、同罪と予備的訴因の監禁致死傷罪は成立しないと主張。同被告は「夫婦を死なせ、親族に深い傷を負わせたことを一生背負う」と述べた。

検察側は論告で、被告が高速上に車を止めたことは、危険運転致死傷罪の「重大な交通の危険を生じさせる速度での運転」だと指摘。停止行為が同罪の構成要件でないとしても、あおり運転が夫婦の車を停止させ、一家の死傷を生じさせたとした。監禁致死傷罪については、被告は自身の車で夫婦の車の前進を不可能にし、夫への暴行で再発進も困難にしたため成立すると述べた。

一方、弁護側は、悪質運転を対象にした危険運転致死傷罪は被告の停止行為に適用できないと主張。停車後2分経過し、あおり運転による危険は消滅したと因果関係も否定し、監禁致死傷罪とともに無罪を主張した。ただ、同罪の成立に備え、暴行などは夫の非難を受けた偶発的行為と情状も訴えた。

起訴状によると、石橋被告は昨年6月5日夜、東名下り線のパーキングエリアで、静岡市清水区の自営業萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車方法を非難されたことに憤慨。時速約100キロで萩山さん一家が乗った車を追い抜き、車線変更して進路をふさぐ運転を繰り返し、追い越し車線上に停車させて追突事故を誘発、萩山さんと妻友香さん=同(39)=を死亡させ、娘2人にけがをさせたとされる。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 裁判 東海