オウム井上元死刑囚が手記5千枚超=作家・門田氏ノンフィクション出版

社会

今年7月に刑が執行されたオウム真理教の元幹部井上嘉浩元死刑囚=当時(48)=が、執行直前まで拘置所で5000枚以上の手記を書き続けていたことが11日、分かった。元死刑囚の両親と23年来の親交がある作家の門田隆将氏(60)が明らかにした。

井上元死刑囚は16歳で入信し、1995年5月に逮捕された。地下鉄サリンなどの事件に関与したとして、2010年に死刑が確定した。

門田氏は、400字詰め原稿用紙5000枚を超える手記と、約600枚の父親(81)の回想録を基に、ノンフィクション作品を執筆。元代表松本智津夫元死刑囚=同(63)=に魅せられ、疑問を抱きつつも離れられなかった姿を浮き彫りにした。

「グル(松本元死刑囚)の意思がすべて」「松本氏の支配から逃れる唯一の方法は、松本氏を殺す以外あり得ない」「グルを殺せば無間地獄に落ちてしまう、グルを裏切るわけにはいかない」。手記には葛藤がにじむ。

悔やみ続ける両親の姿も描写。逮捕から11日後の面会で、父親が「正直にすべてを話すことが何より大事。それが唯一、できることなんだよ」と語り掛けたエピソードなどが盛り込まれている。

父親は取材に、手記提供の理由について「自分のような若者が二度と出てほしくない、という嘉浩の思いが伝われば」と語った。

門田氏は「事件で苦悩し、償いの気持ちを持ち続けた加害者の姿を知ってほしい」と話す。作品のタイトルは「オウム死刑囚 魂の遍歴」(PHP研究所)。副題は、井上元死刑囚が拘置所で言い続けた「すべての罪はわが身にあり」とした。13日に発売される。

オウム真理教の元幹部井上嘉浩元死刑囚が拘置所で書き続けていた手記の一部(門田隆将氏提供)

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