追加緩和と正常化、両にらみ=海外経済の動向焦点-来年の日銀金融政策

政治・外交

日銀の2019年の金融政策運営は、米中対立などの影響で減速懸念が強まっている世界経済のリスク要因をどう見定めるかが焦点となる。世界各国で株価が乱高下するなど金融市場は不安定な状況。長らく拡大を続けてきた国内景気に変調があれば、追加緩和の期待論が浮上する可能性がある。一方、超低金利下で経営体力のない地方銀行の収益が悪化するなど大規模緩和の副作用も深刻化。日銀は追加緩和と金利正常化の双方をにらみながら、難しい政策運営を迫られる。

「海外経済を中心とする下振れリスクに一層注意が必要になってきた」。黒田東彦総裁は26日の講演で、最近の経済情勢を「複雑な局面」と表現し、警戒を強める姿勢を示した。

日銀は7月末、長期金利の上昇をある程度容認する政策修正を行い、国債買い入れを段階的に減額するなど金融緩和の弊害を軽減する動きを強めてきた。黒田総裁も講演で、金融政策は「効果と副作用を比較する」と繰り返し、日銀が緩和のデメリットにも目配りしていることを強調した。

しかし、緩和の副作用を抜本的に解決する正常化路線へ転換を進めるのは容易ではない。銀行などに不評なマイナス金利を解除すれば、日米金利差が縮小し、急激な円高を招きかねない。

しかも、市場には「世界経済はすでに減速局面に入っている」(野村証券の美和卓チーフエコノミスト)との見方がある。来年10月には消費税増税も予定されており、個人消費が冷え込むような事態になれば、正常化どころか「追加緩和を迫られる可能性がある」と日銀OBは話す。

ただ、これまでの大規模緩和で追加余地は限られており、実行すれば効果より銀行などへの副作用が強くなる恐れもある。日銀の政策判断は難しく、市場では金融政策が手詰まりに陥る可能性を指摘する声も出ている。

難しい金融政策運営を迫られる日銀の本店=東京都中央区

金融政策決定会合後の記者会見で、厳しい表情を見せる日本銀行の黒田東彦総裁=20日、日銀本店

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