「川端は純粋な真の作家」=68年ノーベル文学賞、選考経過開示

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【ストックホルム時事】「伊豆の踊子」「雪国」で知られる作家の川端康成(1899~1972年)が日本人で初めてノーベル文学賞を受賞した1968年、選考過程で「日本の文学界における純粋な真の作家」との評価を受けていたことが、スウェーデン・アカデミーが時事通信の請求を受けて2日開示した資料で分かった。同賞の選考経過は50年間非公開とされている。

同賞を選考する同アカデミーの資料によると、この年の候補者総数は83人。日本人では川端のほか、作家の三島由紀夫と詩人の西脇順三郎も名が挙がった。

選考委員会の審議が進む中で残った4人の有力候補のうち、アイルランド出身で、フランスで活躍した劇作家サミュエル・ベケット(翌年受賞)、英国出身の詩人W・H・オーデン、仏作家アンドレ・マルローを抑え、川端の受賞が決まった。

68年10月、川端の受賞が正式発表された際には、授賞理由について「優れた感受性で日本人の心の精髄を表現した」と言及されている。

資料中で候補とされた三島については「今後も引き続き、考慮に入れていく」とした。

ストックホルム在住の文学研究者、大木ひさよさんの調査によると、同賞をめぐっては60年前後から谷崎潤一郎や三島、西脇らの日本人が有力候補として浮上。61年に初めて候補に名の挙がった川端は65年の谷崎死去の後、最有力と見なされていた。

川端の受賞後、94年に大江健三郎、2000年に中国出身(受賞時はフランス国籍)の高行健、12年には中国の莫言に授与。川端が切り開いた道は、東アジアの現代作品が世界文学の中に確固とした地位を得る結果につながった。

ノーベル文学賞の授賞式でグスタフ国王(左)から賞を授与される作家の川端康成=1968年、スウェーデン・ストックホルム(TT=時事)

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