日ロ平和条約交渉が焦点=拉致解決へカギ握る「米朝」-19年外交展望

政治・外交

2019年の日本外交の最大の焦点は、安倍晋三首相が長期政権のレガシー(遺産)にしようと取り組むロシアとの平和条約締結交渉だ。北朝鮮による拉致問題の解決や、一気に冷え込んだ韓国との関係改善も課題。外国要人を招く大型行事も目白押しで、日本外交が活発化しそうだ。

首相は21日にロシアのプーチン大統領との会談に臨む方向。両首脳は昨年11月の会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎に条約交渉を加速させることで一致した。首相は歯舞・色丹2島の先行返還にかじを切った形だ。

首相は6月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせてプーチン氏が来日する際に具体的な成果を得る段取りを描く。ただ、ロシア側は2島の主権などをめぐってけん制を続け、2島返還でさえ難しい交渉を強いられるのは確実だ。

首相は極東での経済協力の深化をてこに打開を図る構えだが、政府関係者からは「そんなに簡単ではない」との声が漏れる。2島返還後の在日米軍基地の設置を警戒するロシア側が、設置しないことの確約を日本に求めてきた場合、米ロの板挟みになる局面もあり得る。首相は1日の民放テレビ番組で在日米軍について「決してロシアに対して敵対的なものではない」と述べ、理解を求めた。

拉致問題は、2回目の米朝首脳会談の結果がカギを握りそうだ。北朝鮮は対米関係改善を最優先しており、首相が意欲を示す日朝首脳会談は、北朝鮮非核化に関する米朝協議次第との見方がもっぱら。政府は拉致問題を置き去りにさせないため、米韓両国と緊密な連携を維持する姿勢だ。

首相はトランプ大統領との個人的な信頼関係を生かし、米国との良好な関係を堅持したい考え。5月の新天皇陛下即位後、最初の国賓としてトランプ氏を迎えることを検討している。一方、日米両政府が1月下旬にも始める物品貿易協定(TAG)交渉は、対象項目をめぐって激しいせめぎ合いがありそうだ。

◇対照的な中・韓

中国との関係は、双方が「正常な軌道に戻った」と表現。この改善基調を、東シナ海でのガス田開発など懸案解決につなげられるかがポイントとなる。昨年は李克強首相の来日と安倍首相の訪中が実現。両国は首脳往来の安定化に向け、年内の習近平国家主席来日を調整している。

対照的に日韓関係は、昨年10月以降、急速に悪化した。日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた韓国最高裁判決に加え、日韓合意に基づき元慰安婦支援のためつくられた財団が解散。韓国海軍による自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射が関係悪化に拍車を掛けた。日本側が一時、昨年中の実現を目指した文在寅大統領の来日はめどが立たず、当面こう着状態が続きそうだ。

◇要人来日ラッシュ

19年は6月にG20首脳会議、8月に第7回アフリカ開発会議(TICAD)、10月に新天皇即位関連の儀式があり、海外の元首クラスが多数来日する。G20ではプーチン氏に加え、トランプ、習両氏らの来日も予想される。

昨年のG20首脳会議では、首脳宣言から「反保護主義」の文字が抜け落ちた。米国が保護主義を強める中、自由貿易推進に向けて有効なメッセージを打ち出すことができるのか。議長を担う首相の手腕が試される。

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