iPS、がん患者で治験へ=免疫細胞を作製-理研・千葉大

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健康な人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から免疫細胞を作り、頭や首にできる「頭頸部がん」の患者に投与する臨床試験(治験)を、理化学研究所と千葉大のチームが計画していることが10日、分かった。チームは今秋にも国に届け出て、了承が得られた段階で投与する予定。iPS細胞を使ったがんの治験は国内では例がないという。

治験を計画しているのは、理研生命医科学研究センターの古関明彦副センター長と千葉大の岡本美孝教授らのチーム。頭頸部がんが再発し、手術などでは治療効果が得られない患者3人を対象に行う。

計画では、健康な人の血液から免疫細胞の一種で、がんを攻撃したり他の免疫細胞を活性化させたりする「ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)」を取り出す。この細胞からiPS細胞を作製した上で、再びNKT細胞に変化させ、患者の血管から注入して移植する。

移植は計3回。移植する細胞数は1回目は3000万個で、2回目以降は副作用と効果をみて増減する。移植後2年間、安全性やがんが小さくなるかの効果を調べる。

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