鉄道の安全、なお途上=事故のたび対策-殺傷事件や不安要素も

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身近な公共輸送機関である鉄道にとって、平成の30年間は事故とその対策の繰り返しだった。その効果もあり、2006年以降は列車事故による乗車中の死亡事例はない。一方、新幹線内で焼身自殺の巻き添えで乗客が死亡したほか、刃物による殺傷事件も起きている。多発する自然災害、地方の中小鉄道を中心とした経営体力の低下など、事故の要因になりうる状況も多く、安全への取り組みはなお途上にある。

107人という平成最多の死者を出した鉄道事故は05年4月に起きた。兵庫県尼崎市であったJR西日本の福知山線脱線事故。線路から飛び出した1、2両目が近くのマンションに激突するなどし、負傷者も562人に。JR発足以来最悪の事故となった。直接の原因は制限速度を大幅に上回る時速116キロでカーブに進入したこととされた。

国土交通省は06年、制限速度が100キロを超える路線や、1時間の運行本数が上下線合わせて10本以上の場合は、レールや車両に自動列車停止装置(ATS)設置を義務付けた。整備率は16年3月末までに100%となった。

山形県庄内町で05年12月に38人が死傷したJR羽越線脱線事故は、突風によって車両が転覆した結果起きたとされる。JR東日本は風速計の増設や暴風柵の設置などを進め、突風を探知するシステムも開発した。

06年以降、乗車中に死亡する事故が起きていないことについて、国交省は「事業者の安全対策が一定程度進んだことが、背景の一つになっているのでは」と推測する。一方、新幹線車内の殺傷事件を受け刃物類の持ち込み制限が決まったが、手荷物検査は実施されていない。国交省は「利便性と安全性のバランスをどう確保していくか難しい問題」と説明している。

また、16~17年に西濃鉄道や熊本電気鉄道など地方鉄道4社で木製の枕木が使われたレールの間隔が広がり、脱線する事故が相次いだ。調査した運輸安全委員会は経営環境が厳しく規模の小さい鉄道会社に共通する要因が多いとみている。

国交省によると、中小民鉄や第三セクター計96社のうち、17年度の経常収支は76%に当たる73社が赤字だった。JRでも北海道や四国は人口流出や自家用車の普及などに伴う利用者数の減少に直面し、難しい経営に直面している。

快速電車が脱線しマンションに衝突したJR福知山線の事故現場=2005年4月25日、兵庫県尼崎市(時事通信社ヘリから)快速電車が脱線しマンションに衝突したJR福知山線の事故現場=2005年4月25日、兵庫県尼崎市(時事通信社ヘリから)

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