米、車の数量制限を検討=対日交渉、範囲設定が焦点-元USTR高官

政治・外交

元米通商代表部(USTR)高官のウェンディ・カトラー氏は13日までに東京都内で時事通信のインタビューに応じた。日米の新たな貿易協定交渉を前に、米政府が日本車の対米輸出数量制限の可否を「米議会と協議しているのは確かだ」と指摘。自動車分野などをめぐる日米の立場の隔たりから「交渉範囲の設定が難関になる」との見通しを示した。

米国は2018年に合意した「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に対米輸出車の数量制限を盛り込んだ。対日交渉でも同様の制限を求める恐れがあり、日本政府は「管理貿易につながる措置は受け入れられない」とけん制している。

カトラー氏は、米政府は議会と対日交渉の範囲を協議した後、日本と折衝し、交渉に入ると説明。数量制限を含むUSMCAの合意内容は、米国が17年に離脱した環太平洋連携協定(TPP)や日本の要求事項も踏まえ、「日米交渉の出発点になる」と語った。

USMCAには自国の輸出に有利な通貨安誘導を制約する条項に加えて、中国を念頭に「非市場経済国」との通商協定を妨害する条項が明記された。同氏は両条項についても米国が対日交渉で提案する可能性があるとの見方を示し、「日本にとって大きな問題になる」と警告した。

日本は昨年末に米離脱後の11カ国によるTPPを、今月に欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)をそれぞれ発効させており、米国に多国間の枠組みを促す構え。ただ、カトラー氏は「アメリカの農業団体は日米交渉の早期妥結を求め、政府に圧力をかけている」と指摘。米国のTPP復帰については「トランプ大統領の姿勢は明確だ」と述べ、現実的ではないと強調した。

米国は日本、EUとの交渉開始に先立ち、中国と貿易不均衡の是正措置を協議している。同氏は「対中協議が米国の優先事項だ」と認めたものの、「USTRは複数の交渉を同時に進められる」とも述べ、米中協議により日米交渉が遅れることはないとの見方を示した。

カトラー氏はオバマ前政権のUSTR次席代表代行としてTPP交渉を主導した。

ウェンディ・カトラー元米通商代表部(USTR)次席代表代行(アジア・ソサエティー政策研究所提供)ウェンディ・カトラー元米通商代表部(USTR)次席代表代行(アジア・ソサエティー政策研究所提供)

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