体罰禁止、実効性に課題も=東京都、条例案提出へ

政治・外交

相次ぐ児童虐待による死亡事件を踏まえ、東京都は保護者による子どもへの体罰や暴言を禁じる条例案をまとめた。20日開会予定の都議会に提出し、4月1日の施行を目指す。都道府県レベルで家庭での体罰禁止を明記したのは初めて。児童相談所(児相)間の引き継ぎなどを徹底する規定も盛り込み、虐待の未然防止や早期発見を目指すが、実効性には課題も残る。

民法では、親権の一つとして「懲戒権」を認めているが、条例案は体罰や暴言を「子供の品位を傷つける罰」として禁じ、都の責務を「体罰などによらない子育ての推進」と規定した。都は「子の利益のため」かどうかを判断基準とし、体罰・暴言は子の利益に反することから、懲戒権には当たらないとしている。

ただ、条例案には罰則規定や、具体的にどの行為が体罰に当たるかの定義は盛り込まなかった。都の担当者は「時代や家庭環境、子どもの性格などによっても体罰の定義は変わるため」と説明。まずは児相などを通じて「しつけであっても体罰はいけない」との考え方を広めたい考えだが、線引きがあいまいなままで体罰や虐待を防げるかは不透明だ。

一方、懲戒権自体にも「しつけ」と称した虐待が正当化されているとの批判がある。国連子どもの権利委員会は7日、日本政府に対し、体罰の全面禁止の法制化を勧告。小池百合子知事は8日の記者会見で「(都が)条例をつくることで機運を高めることもできるのでは」と、法改正に期待を寄せた。

条例案ではまた、昨年3月、目黒区で5歳の女児が虐待死した事件などで、転居先の児相への引き継ぎが不十分だった反省を踏まえ、転居を伴う虐待事案を児相間で的確に引き継ぐことや、警察との情報共有も明記。虐待の早期発見に向け、乳幼児健診の受診勧奨に応じることを保護者の努力義務としている。

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