「今こそ非人道性知って」=米朝首脳会談前に訴え-福竜丸被ばく65年

政治・外交

太平洋ビキニ環礁周辺で米国の水爆実験により、マグロ漁船「第五福竜丸」(静岡県焼津港)が被ばくしてから3月1日で65年を迎える。これまでに乗組員23人のうち、19人が死亡。27日からの米朝首脳会談で核をめぐる動きに注目が集まる中、世界の反核運動に大きな影響を与えた悲劇をめぐり、「今こそ非人道性を知って」との声が上がる。

乗組員は1954年3月1日、マーシャル諸島ビキニ環礁周辺で行われた水爆「ブラボー」の実験で被ばくし、「死の灰」を浴びた。同船は約2週間後に帰港したが、半年後に元無線長久保山愛吉さん=当時(40)=が死去。元乗組員はその後もがんなどで相次いで亡くなり、今月25日には元操舵(そうだ)手の見崎進さんが92歳で死去した。

船体を保存・展示する都立第五福竜丸展示館(東京都江東区)によると、23人の被ばく当時の平均年齢は25.3歳だったが、生存者4人の平均年齢(3月1日時点)は85.3歳。体調不良を訴える人も多いほか、偏見や差別への恐れから今も被ばく体験を語らない元乗組員もいる。

核問題は、ベトナムの首都ハノイで27日から始まる米朝首脳会談の最大テーマ。同展示館の安田和也学芸員(66)は「今こそもっと多くの人に、広島・長崎の後に起きてしまった惨禍の非人道性と残虐さを知ってほしい」と強調する。

展示館は開館から40年を超え、屋根や床の老朽化が進んだため、昨年7月から休館して改修中。4月2日には一新され、3D映像化された第五福竜丸船内を歩く体験もできる。安田学芸員は「核の悲劇を繰り返さないためにも、この貴重な資料をもっと発信していきたい」と話している。

1954年3月、米国が行った水爆実験により被ばくしたマグロ漁船「第五福竜丸」。都立第五福竜丸展示館に保存されている=2018年6月、東京都江東区1954年3月、米国が行った水爆実験により被ばくしたマグロ漁船「第五福竜丸」。都立第五福竜丸展示館に保存されている=2018年6月、東京都江東区

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