被災者貸付4割返済なし=東北3県、生活再建苦しく-東日本大震災8年

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東日本大震災で岩手、宮城、福島3県の被災者に貸し付けられた災害援護資金のうち、定められた期限までに返済されていない件数が、昨年3月末時点で4割に上ることが、各市町村への取材で分かった。自宅を失うなどした人の生活再建は、今なお厳しい実態が浮かぶ。

災害援護資金は、低所得世帯が公費負担で最大350万円を借りられる制度で、東日本大震災では2万8000件、計496億円が融資された。昨年3月末までに分割払いの最初の期限などが来た4000件超のうち、返済がなかったり猶予を求められたりしたケースが1703件あった。うち、宮城県が突出しており、滞納・猶予数は1598件で、金額は約1億4000万円だった。

一方、昨年3月までに最初の期限が来たのは全体の2割に満たず、滞納などの件数はさらに増える見込みだ。仙台市の昨年12月時点でのまとめでは、4784件、約6億5000万円の返済が遅れているという。同市災害援護資金課によると、猶予対象者には収入が少ない高齢者や、大学生の子供がいる家庭などが多い傾向がある。一方、連絡が取れない借り主もいるという。

被災者の相談活動を行っている仙台弁護士会の佐藤靖祥弁護士は「何もしなければ延滞利息がかかる上、行政の債権回収の負担も増す。返済猶予や少額返済が可能なので、まずは自治体などに相談してほしい」とアドバイスする。

1月に相談に訪れた仙台市の無職女性(76)は、170万円を借りて自宅の修繕費に充てた。大規模損壊と認定され、補助金や義援金だけでは足りなかったという。その後、夫が病気で働けなくなり、返済の見通しが立たないまま、昨年10月の最初の支払期限が過ぎてしまった。女性は「税金を借りた立場で申し訳ないが、家計もぎりぎり」とため息を漏らした。

同課は「返済期間内の資力回復が難しい被災者については、国が期限を延長するなどの柔軟な対応が必要ではないか」と指摘。別の自治体の担当者は「家の再建などは、既存の給付型支援金では足りない。低所得者には貸し付けではなく給付型を拡充すべきだ」と話している。

災害援護資金の返済について相談を呼び掛ける佐藤靖祥弁護士(左端)=2月14日、仙台市青葉区災害援護資金の返済について相談を呼び掛ける佐藤靖祥弁護士(左端)=2月14日、仙台市青葉区

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