望んだ廃炉、細る財源=復興途上の第2原発立地町-福島

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東京電力は昨年6月、東日本大震災以降運転を停止している福島第2原発を廃炉にする方針を表明した。地元の福島県楢葉、富岡両町で住民が強く望んできた廃炉だが、原発立地で受け取ってきた交付金は期待できなくなる。全町避難を強いられ、いまだ復興途上にある中で、財政運営をめぐる両町の悩みは尽きない。

◇影響大きい交付税

「一定の評価をさせていただきたい」。東電の小早川智明社長が昨年6月、廃炉方針の説明で楢葉町を訪れた際、松本幸英町長はこう応じた。ただ、会談後の取材に対しては「(原発立地に伴う)交付税などには大きなものがある。それによって、しっかりとした行政サービスをしてきたことも事実」と廃炉が財政に与える影響を指摘し、険しい表情を見せた。

東電福島第2原発は、1982年に初号機が稼働して以降、楢葉、富岡両町に財政的な「恩恵」をもたらしてきた。

富岡町の2018年度当初予算の歳入は、「電源三法交付金」と原発の固定資産税だけで約21億円。これは国からの復興関連補助金などで事故前の2.4倍となった財源の約13%に相当する。町の担当者は「財政は今より厳しくなるのではないか」と将来への懸念を口にする。

楢葉町は15年9月に全域、富岡町は17年4月に一部を除いて避難指示が解除された。しかし、住民票登録に占める居住者の割合は、楢葉町が事故前の約5割、富岡町が約1割に減っており、生活インフラや産業の再生など喫緊の課題に直面している。

◇新たな歳入確保模索

楢葉、富岡両町が望むのは、廃炉となった福島第1原発が立地する双葉、大熊両町に取られたのと同様の措置だ。15年度以降、双葉、大熊両町を含む第1原発周辺7市町村には、国から県を通して、原発事故による影響の緩和などを目的とする「福島県市町村特定原子力施設地域振興事業補助金」が交付された。双葉、大熊両町には「電源三法交付金」並みの金額が入っている。実際に廃炉作業が始まれば、事業者が訪れ、住民税や法人事業税の課税なども期待される。

楢葉町は今後の行政運営に向け、事業の必要性を精査し歳出削減を進める一方、公共施設の売却など新たな財源確保策を講じる方針。「交付金に代わる新たな財源についても、国、県に要望していく」との姿勢だ。

不安を抱えながらも、富岡町に住む30代の主婦は「廃炉の方向性になったからには、自分たちで何とかしていくしかない」と今後を見据えた。

東京電力福島第2原子力発電所。奥右から4~1号機。手前右から原子炉建屋、タービン建屋=2018年6月26日、福島県富岡町から撮影東京電力福島第2原子力発電所。奥右から4~1号機。手前右から原子炉建屋、タービン建屋=2018年6月26日、福島県富岡町から撮影

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