福島で学ぶ「光と影」=国家公務員内定者向けツアー

経済・ビジネス

東京電力福島第1原発事故により、観光分野でも風評被害が続く福島県。こうした中、東日本大震災・原発事故の教訓や復興に挑戦する人々の姿に学ぶ「ホープツーリズム」が、学校や企業などに広まりつつある。2017年度からは国家公務員総合職の内定者向けツアーもスタート。企画した県担当者は「光は復興に取り組む人、影はまだ復興が進んでいない部分。課題も見てもらうことで、福島が自分の生活の延長線上になる」と期待する。

18年12月上旬、2回目となる内定者向けツアーが2泊3日の日程で行われた。各省庁に関係するスポットを満遍なく巡るのが特徴で、参加した37人は、福島第1原発や中間貯蔵施設のほか、原発事故で増えた遊休農地を活用したメガソーラー、復興を担う人材育成に取り組む県立高校などを訪れた。

参加者から特に好評だったのは、先輩職員との意見交換会だ。県担当者によると、中間貯蔵施設の整備に向けた地権者との交渉など、復興に取り組む姿に国家公務員になる責任を実感した様子だったという。経済産業省に入省予定の男子学生は「復興を目指す政策や自治体と住民との積極的な関わりといった前向きな側面もあった」と振り返った。

各省庁に内定者への声掛けを依頼した復興庁総合政策班の津田裕亮参事官補佐は、このツアーを「入省後に仕事で福島と関わるかは人それぞれ。自分のキャリアパス(職務経歴)を想像しながら『現場』を見て感じることに意義があるのではないか」と捉える。

内定者向けツアーは19年度も実施する方向だ。県観光交流課の加藤泰広総括主幹は「コミュニティー再生など福島の現状を見ると国の行政のヒントになる」と強調。ホープツーリズムの企画・運営に携わる福島大の前川直哉特任准教授も「原発事故を二度と起こさないためには自分事として考えることが必要。自分たちの社会を自分たちでつくる、そのことを考えるのに福島は必要不可欠な場所だ」と指摘している。

先輩職員と意見交換する国家公務員総合職内定者ら=2018年12月4日、福島県楢葉町のJヴィレッジ(同県提供)先輩職員と意見交換する国家公務員総合職内定者ら=2018年12月4日、福島県楢葉町のJヴィレッジ(同県提供)

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