岐路に立つ外国人互助=比女性らラジオ続ける-分裂の団体も・東日本大震災8年

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東日本大震災の後、東北各地では被災した外国人住民がコミュニティーをつくって助け合う例が多く見られた。しかし、8年たった現在、継続的な活動が難しくなる組織もあり、専門家は目的の明確化や外部とのつながりも必要と指摘する。

「雨の時期はチャンプラード(ココアのおかゆ)がおいしいね」。今年2月、宮城県気仙沼市の地元FM局「ラヂオ気仙沼」の番組で、フィリピン人の女性3人がにぎやかにおしゃべりを繰り広げた。月1回、30分間の放送を担当するのは、「カバヤン気仙沼」のメンバー。日本語に英語やタガログ語、スペイン語が交じり、収録は笑顔が絶えない。

カバヤン代表の伊藤チャリトさん(48)らが始め、当初は被災時にどこに避難したか、どのように新しい仕事を見つけたかなど、生活に役立つ情報が中心だった。今は、日本とフィリピンの文化の差やイベントの紹介などがメインだ。

仕事の合間に収録時間を合わせるなど苦労もあるが、3人は「フィリピン人の良いイメージをPRしたいし、フィリピンの細かい所まで知ってほしい」と意気軒高だ。

震災を教訓に、安否確認や情報共有などを目的に設立されたコミュニティーは宮城県や福島県に複数あるが、活動が順調な所ばかりではない。ある団体は、リーダーの改選をめぐる対立で分裂。構成員の意見対立でたもとを分かったケースは他にも複数ある。

復興需要の高まりで、東北では技能実習生ら外国人住民の数が急増し、非常時のネットワークの重要性は増している。インドネシア人らでつくる「東北家族」も震災後、メンバーが18人から300人以上に。創立者の一人、イスワユディさん(44)は「自分たち(長期在住者)が見守り、実習生らが1年交代でリーダーを務めることでうまくいっている」と語る。日本人メンバーも多いという。

宮城県国際化協会の大泉貴広総括マネジャー(49)は「震災後の状況が落ち着いた時に、団体の目的をどう共有するかが課題」と指摘。「持続には、地域の日本人団体と共に活動するなど外部と連携することも、多文化共生の観点から重要だ」と話している。

ラジオ番組の収録を行う「カバヤン気仙沼」の(右から)伊藤チャリトさん、佐藤ジェニファーさん、吉田ジョセリーンさん=2月12日、宮城県気仙沼市(伊藤さん提供)ラジオ番組の収録を行う「カバヤン気仙沼」の(右から)伊藤チャリトさん、佐藤ジェニファーさん、吉田ジョセリーンさん=2月12日、宮城県気仙沼市(伊藤さん提供)

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