廃業増、中小企業の支援急務=震災支援機構社長インタビュー-東日本大震災8年

社会 暮らし 経済・ビジネス

東日本大震災事業者再生支援機構の松崎孝夫社長はインタビューに応じ、被害を受けた中小零細企業の支援を強化する考えを示した。被災地では、津波や東京電力福島第1原発事故の被害が大きい沿岸部を中心に「将来が見通せず、廃業する事業者が出始め、倒産も増える可能性がある」と指摘。震災から8年がたっても将来展望を描けないでいる小規模事業者への幅広い支援が喫緊の課題だと強調した。

また、震災直後に自治体を通じて借り入れた復旧・復興資金の制度融資の返済も重荷になりつつある。公的融資は返済を5年程度猶予している場合が多い。震災から8年が経過し、一部で返済が始まっているが、「思うように事業が好転せず、借金に苦しむ事業者も出てきている」という。

支援機構は、震災前から借り入れのある事業者が復旧のための新たな債務を抱える「二重ローン」問題の解決に取り組んできた。被災者からの債権買い取りは、2013年度の243件をピークに減少している。松崎社長は「2万人近い雇用を守れた」と振り返った。

現在、力を入れているのが、販路開拓などを後押しする経営支援だ。債権買い取りなどを実施した事業者を対象に15年秋から始め、377件(19年1月末時点)に達した。

被災地ではこの8年で建設などの復興需要は一巡した。一方、岩手、宮城の沿岸部では震災後に流出した人口は思うように戻っておらず、「地元のパン屋や理髪店など地域の事業者は厳しいままだ」と話す。

原発事故の避難指示区域が残る福島県は先を見通せない。風評被害も深刻で、旅館・ホテルなどの観光業も苦戦が続く。高齢化も急速に進んでおり、「後継者がいても、将来性に見切りをつけて、廃業を選ぶケースが出てきている」という。

支援機構では、従業員の再就職先あっせんなどの廃業支援件数が増えてきているという。松崎社長は、さらなる復興には「地域全体の振興や産業活性化、新規事業の育成に地道に取り組むしかない」と分析している。

インタビューに答える東日本大震災事業者再生支援機構の松崎孝夫社長=14日、東京都千代田区インタビューに答える東日本大震災事業者再生支援機構の松崎孝夫社長=14日、東京都千代田区

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 安全・危機管理 災害 暮らし 生産 東北 岩手県