雨の中、鎮魂の祈り=「伝承、生存者の務め」-東日本大震災8年

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東日本大震災から8年となった11日。被災地の沿岸部では降りしきる雨の中、朝から遺族らが犠牲者をしのび、鎮魂の祈りをささげた。

20メートル超の津波が襲ったとされる宮城県気仙沼市大谷地区。石田勝さん(49)は、大谷海岸を一望する丘で、亡くなった父と叔父を思った。叔父と共に流された自動車板金塗装工場を継ぐ形で、この丘に4月、自身の工場を開業する。「自宅も工場も新たに建てて不安ばかりだが、父と叔父には『頑張ってみるよ』と声を掛けたい」と話した。

児童74人と教職員10人が津波の犠牲となった宮城県石巻市の大川小学校跡地では、3年生だったおいを亡くした女性(64)が夫(68)と共に手を合わせた。「生きていれば高校生。弟夫婦が寂しがってるよと声を掛けた」と語った。当時、近隣の大川中学校に勤務していたという男性(41)は「震災のことを伝えていくことが生き残った者の務めだ」と言葉少なに話した。

福島県相馬市原釜の慰霊碑でも、遺族らが花を手向けた。漁師の高橋範雄さん(59)は、仕事の手伝いもしてくれる自慢の娘だった悠さん=当時(18)=を津波で亡くした。「どこか遠くで見ている気がするんだ」と海を見詰めた。

東京電力福島第1原発から北に約6キロの福島県浪江町請戸地区では、いわき市の藤崎のり子さん(64)が津波で亡くなった娘=当時(24)=と孫=当時(4)=の墓前に花を供えた。「2人との思い出はずっと心の中に残っている。やっぱり会いたい」と声を詰まらせた。

防潮堤工事が進む大谷地区で、津波の犠牲となった父と叔父を思い、海を見詰める石田勝さん=11日午前、宮城県気仙沼市防潮堤工事が進む大谷地区で、津波の犠牲となった父と叔父を思い、海を見詰める石田勝さん=11日午前、宮城県気仙沼市

震災で亡くなった娘と孫の墓に花を手向ける藤崎のり子さん=11日午前、福島県浪江町震災で亡くなった娘と孫の墓に花を手向ける藤崎のり子さん=11日午前、福島県浪江町

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