さらば「石炭列車」=3月で運行終了-北海道釧路市〔地域〕

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国内に唯一残る石炭輸送専用鉄道で、北海道釧路市内を走る「太平洋石炭販売輸送臨港線」(春採-知人、4キロ)が、94年にわたる現役生活に別れを告げる。3月末で運行を終え、その後廃線となる見通し。炭鉱の往時の活気を今に伝える“生きた遺産”で、「石炭列車」「臨鉄」の愛称で親しまれてきた鉄道の保存を求める声も多い。

北海道や九州の主な炭鉱では各炭鉱と国鉄線や港湾を結ぶ鉄道が数多く存在したが、閉山に伴い次々と廃止された。産業史に詳しい釧路市立博物館学芸員の石川孝織さんは「石炭産業が釧路では現役であることを走る姿や音でも感じさせてくれる存在だった。しんがりを務めた炭鉱鉄道の記録や記憶をしっかりと残さなければならない」と話している。

石川さんによると、臨港線は掘り出した石炭から不純物を取り除く選炭場と石炭を一時貯蔵する釧路港の貯炭場を結び、1925年に運行を開始。専用の貨車の両端にディーゼル車を連結し、1列車当たり計720トンの石炭を積んで1日最大6往復した。春採湖岸や海岸線を走るロケーションとも相まって、国内外の鉄道愛好家に人気が高かった。

国の石炭政策の終了とともに炭鉱は2002年に閉山。地元資本の別会社が事業を引き継いだものの、最盛期には年間260万トンだった生産量は5分の1ほどに減少。列車が走らない日も多くなり、最近は石炭を積まず、点検のため週1回2往復程度するだけになっていた。

運行主体の親会社である太平洋興発(東京)によると、17年12月から釧路市内で火力発電所の建設が進んでおり、稼働後は生産量の大半がこの発電所向けにトラックで供給される。このため鉄道輸送を打ち切りたいとの申し入れが荷主側からあった。

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