小中学生、震災前の1割=バス送迎、合同授業も-福島の避難解除10市町村

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東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除され、小中学校が地元で再開した福島県内の10市町村では、児童・生徒数が2018年5月時点で計758人と、事故前の1割強にとどまっている。避難の長期化で、多くの子育て世代が新たな場所で生活を再建したことが背景にあり、各市町村は厳しい学校運営を強いられている。

17年3月に避難指示が解除された川俣町山木屋地区では、昨年4月から小中学校が再開したが、小学生は6年の児童5人だけ。今年の新入生もおらず、4月から休校する見通しだ。住民の帰還率は約4割だが、60代以上が4分の3を占め、「子育て世代は避難先の学校で子供の友人関係ができたり、家を新たに建てたりして生活基盤を移している」(町教育委員会)という。

地区の自治会に所属する60代男性は「子供の声がなくなるのは、灯が消えるのと同じ」と肩を落とす。震災前は、小学生が踊りを奉納して無病息災を願う伝統芸能の「三匹獅子舞」が毎年行われていた。17年に再開したものの、今年は近隣の町出身者に協力を呼び掛けるという。本来の形ではないが、男性は「何とか伝統を継続させたい」と話した。

小中学生合わせて79人となった飯舘村では、教材や給食など教育関連費用は全て村が負担する。近隣自治体から通う子供もおり、送迎のスクールバス12台の運営費は年間約6500万円に上る。「村で育てば、将来何らかの形で貢献してくれるのでは」(村教委)との期待から、故郷への愛着を育てる「ふるさと学習」に多くの時間を取っている。

国はICT(情報通信技術)を活用し、過疎地域での少人数教育の充実を図る。今年2月、葛尾村と富岡、浪江両町にある四つの小学校で、テレビ会議システムによる遠隔方式の合同授業が行われた。道徳で「広い心」をテーマに、児童がスクリーン越しに意見を交わした。葛尾小で5・6年の担任を務める教諭の長岐大さん(31)は「多様な意見に触れる機会が少ないため、貴重な経験になる」と話した。

授業に取り組む山木屋小学校6年の児童5人と教員=7日、福島県川俣町授業に取り組む山木屋小学校6年の児童5人と教員=7日、福島県川俣町

福島県内の4小学校で行われたテレビ会議システムを利用した遠隔の合同授業=2月26日、福島県葛尾村福島県内の4小学校で行われたテレビ会議システムを利用した遠隔の合同授業=2月26日、福島県葛尾村

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