新在留資格、4月から=拭えぬ中間搾取の懸念-「技能実習と同じことに」

政治・外交

4月の新在留資格創設による外国人労働者受け入れ拡大に際し、大きな課題となるのが悪質業者による中間搾取だ。「また同じことが起こる」。外国人技能実習制度の現場で実態を見聞きしてきた関係者が取材に応じ、新制度に懸念を示した。

「ここで感じるのは、実習生へのおごり」。1月、ベトナム人技能実習生を受け入れる関東地方の「監理団体」の男性幹部にメールが届いた。送り主は、実習生が急増する同国の首都ハノイの現地会社に勤める日本人女性。会社は実習生を日本に派遣する「送り出し機関」だ。

メールでは、会社が派手なイベントを開いたり架空の接待費を申請し社員で山分けしたりする実態を告発。これらの経費は実習生が来日する際の手数料に転嫁される。「どれだけの決心で家族の元を離れ、借金までして日本へ行くのか、実習生のことを考えることすら忘れてしまっている」

ハノイの別の送り出し機関に勤める日本人男性は男性幹部へのメールで、日本企業との面接で合格させるなどと言って、実習生から金銭を受け取る機関があると訴えた。

「若者たちの給料は(日本円で月収)2、3万。それに100万の借金を作らせて日本に行かせています。許せません」。ベトナムでは実習生から受け取れる手数料は3600米ドル(約40万円)以下と決まっているが、形骸化している。

習得した技能を母国のために役立てる実習制度と、新在留資格は目的が異なる。しかし、送り出し機関の多くは新制度でも関与するとみられ、こうした搾取の構造が温存される恐れがある。

来日手数料が跳ね上がるのは日本側の問題も大きい。男性幹部によると、契約の見返りに技能実習適正化法で禁じられている謝礼金やキックバックを送り出し機関側に要求したり、「過剰な接待」を求めたりする監理団体関係者も多いという。

実習生や関係機関から仲介料を取るブローカーは両国に存在。新制度では受け入れ企業が直接送り出し国で採用活動することも可能だが、現地に足場のない企業はブローカーなどに頼らざるを得ず、男性幹部は「一番弱い立場にいる労働者の借金に加算されることが問題だ」と憤った。

監理団体の男性幹部が、外国人技能実習生が搾取される構造を説明するために描いた図=21日監理団体の男性幹部が、外国人技能実習生が搾取される構造を説明するために描いた図=21日

監理団体の男性幹部に、ハノイの「送り出し機関」に勤める日本人女性から届いたメールの文面=26日監理団体の男性幹部に、ハノイの「送り出し機関」に勤める日本人女性から届いたメールの文面=26日

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