壁を乗り越えろ=加速する言語、交通バリアフリー-東京五輪500日切る

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五輪、パラリンピックは日常生活の障壁を突き崩すアイデアが生まれるチャンスだ。1964年の東京大会のレガシー(遺産)として知られるのが「ピクトグラム(絵文字)」。言葉が通じなくてもトイレなどの場所が分かるよう考案された。2020年に向けても、さまざまな分野でバリアフリー化が進んでいる。

◇翻訳機器が交流深める

「アシュトンコーイ(これはタコですよ)」。リトアニアのホストタウンとなる神奈川県平塚市は、昨年10月に視察に訪れた選手やコーチとの交流にソフトウエア大手、ソースネクストの携帯型翻訳機「ポケトーク」を使った。タコの酢の物をけげんそうに眺める選手に、リトアニア語で食材を説明すると、表情がほころんだ。石井雅之オリンピック・パラリンピック推進課長は「英語でもコミュニケーションは可能だが、母国語の方が反応が豊かだった」と話す。

言葉の壁を乗り越える翻訳機器の普及は急速に進んでいる。原動力は、20年までの実用化を目指し、総務省所管の情報通信研究機構(NICT)が開発を進める、さまざまな言語を認識し音声や文字に翻訳する技術だ。

人工知能(AI)の進展でこの1、2年で格段に精度が向上。その技術は日本企業の翻訳機器に幅広く応用され、NICTが救急現場向けに開発したアプリは全国で700以上ある消防本部の過半に導入されるなど社会インフラになりつつある。

移動手段のバリアフリー化も進む。トヨタ自動車は車いすのまま乗れるタクシー専用車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」の改良版を3月発売。従来モデルはスロープの設置作業が複雑で、乗車するまでに10~20分かかることもあったが、改良版は3~4分で可能になった。

タクシー大手の日本交通グループは都内4500台余りの約4割を占める車いす用タクシーを、6割まで引き上げる予定。日の丸交通も20年春までに現在の約1.6倍に増やす計画だ。

国土交通省によると、車いす用を含む福祉タクシーの導入台数(18年3月末時点)は2万台余り。20年度までに2万8000台へ増やすという政府目標の実現はもう少し時間がかかりそうだ。

東京五輪・パラリンピックでリトアニアのホストタウンとなった神奈川県平塚市は、携帯翻訳機「ポケトーク」を選手との交流で試験使用した=2018年10月(同市提供)東京五輪・パラリンピックでリトアニアのホストタウンとなった神奈川県平塚市は、携帯翻訳機「ポケトーク」を選手との交流で試験使用した=2018年10月(同市提供)

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