ロンドン漱石記念館、再オープンへ=資料1万点、研究の「新たな糸口」に

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【ロンドン時事】文豪、夏目漱石(1867~1916年)の英国滞在時に関する資料を集めた「ロンドン漱石記念館」が5月、ロンドン南郊に再び開館する方向で準備が進められている。前身の記念館は2016年に閉館したが、館長だった恒松郁生さん(67)がファンの要望に応えて再開を決めた。

「新記念館」はロンドン南郊サリー州にある恒松さんの自宅の一部を改装、展示スペースとした。滞英時に漱石が愛読した書籍や観劇した芝居のプログラム、各国語の翻訳本など1万点以上を展示。「一般向け」だった旧館と異なり、研究者の利用を念頭に置いた専門的な資料が多くを占める。

漱石は1900年から2年間、政府の派遣でロンドンに留学した。恒松さんはこの時期の漱石に関する資料を手弁当で集め、ロンドン南部の漱石の下宿だった建物前で1984年、記念館を開館。日本人観光客のほか、英国留学中だった皇太子さまはじめ多くの著名人も来館した。

資金問題などで2年半前に閉館したが、その後も問い合わせが相次いだことから「(漱石を)好きな人に来てもらい、お茶を飲みながら漱石談義ができれば」(恒松さん)と考え、再開に至った。毎年3~8月の週3回、事前予約制で見学を受け入れる計画だ。

鹿児島県出身の恒松さんは1974年に渡英し、ロンドンで生活する中で漱石に「出会った」。以降、漱石研究に没頭し、私財をつぎ込んで資料集めや記念館運営に奔走してきた。

「資金面が一番大変だったが(酒やたばこなど)ぜいたくをしなかったから続けられた」。再オープンに当たり「漱石研究の新しい糸口になるようなスペースにしたい。作品に近づくヒントを得られる場所となればいい」と思いを語った。

自宅前に立つ恒松郁生さん。この一室を新しいロンドン漱石記念館として再開させる=3月25日、ロンドン郊外サリー州自宅前に立つ恒松郁生さん。この一室を新しいロンドン漱石記念館として再開させる=3月25日、ロンドン郊外サリー州

5月に開館予定の新しいロンドン漱石記念館と、準備を進める恒松郁生さん=3月25日、ロンドン郊外サリー州5月に開館予定の新しいロンドン漱石記念館と、準備を進める恒松郁生さん=3月25日、ロンドン郊外サリー州

英国留学中の夏目漱石の下宿先だった住宅に取り付けられる英国の史跡指定の標識「ブルー・プラーク」=2002年3月、ロンドン英国留学中の夏目漱石の下宿先だった住宅に取り付けられる英国の史跡指定の標識「ブルー・プラーク」=2002年3月、ロンドン

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