文化財保護、国内も対策徹底=「対岸の火事でない」-ノートルダム大聖堂の火災

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パリのノートルダム大聖堂で起きた火災を受け、日本国内の史跡などでは火災への備えを再確認する動きが広がった。「対岸の火事ではない」。寺院や消防関係者は緊張した様子で、防火設備の点検などに当たった。

管内に東大寺など、大聖堂と同じ高層建築物を抱える奈良市消防局は16日、市内の約80社寺に電話で防火体制の強化を呼び掛けた。中西孝次予防課長(59)は「社寺の職員は高齢化が進んでいる。(防火対策の担当に)若い人材の投入が課題だ」と語った。1949年に金堂の壁画が焼失した奈良県斑鳩町の法隆寺の古谷正覚執事長(70)は「職員に改めて防火対策を指導、注意喚起した」と強調した。

約400年前の大天守が今も残る兵庫県姫路市の姫路城。管理事務所の安信光浩係長(59)は大聖堂の火災に「同じ世界遺産を管理する者として言葉が出ない」と驚きを隠さなかった。

姫路城では97年~2003年に計約9億5000万円を投じて防災設備の大改修を行った。消防法の規定を上回る1000個超のスプリンクラーを設置し、「今後とも抜かりなくやっていきたい」と気を引き締めた。

京都市の清水寺では、周辺住民ら約30人がボランティアで警備団をつくり、毎晩巡回をしている。地元消防とホース操作の訓練も重ね、火災時は真っ先に駆け付け、消防隊到着までの消火活動を担う。清水寺の西田五男事務長(68)は「火災への対応は早い」と警備団の重要性を訴える。

岐阜県白川村では、世界遺産に登録されている合掌造り集落を火災から守るため、集落内の59基の放水銃の点検も兼ねた毎年の防災訓練を欠かさない。村教育委員会の松本継太主査(43)は「火を起こさないことが重要。気持ちを引き締めていく」と話した。

重要文化財などをめぐっては、法隆寺金堂の火災を機に文化財保護法が制定された。火災の起きた1月26日は「文化財保護デー」として、全国で防火に向けた啓発活動が毎年行われている。61年には消防法で、重要文化財に指定された建造物への自動火災報知設備の設置も義務化された。

1949年の火災で焼け焦げた法隆寺金堂の柱や梁(はり)。左正面は焼損した「釈迦浄土図」=1994年10月、奈良県斑鳩町1949年の火災で焼け焦げた法隆寺金堂の柱や梁(はり)。左正面は焼損した「釈迦浄土図」=1994年10月、奈良県斑鳩町

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