初の部隊派遣から28年=自衛隊、海外に-根強い不信拭えず

社会

自衛隊は平成の時代に海外へ活動を広げた。初の部隊派遣から28年を経て、国連平和維持活動(PKO)を中心に海外派遣は定着しつつあるが、拡大する任務内容への憲法上の疑義が消えたとは言えない。不透明な活動内容や危険性を指摘し、派遣に反対する声は今も根強い。

1991(平成3)年の湾岸戦争。日本は総額130億ドルもの資金を提供したものの部隊は出さず、国際社会から批判された。戦争終結後の同年、ペルシャ湾に機雷の掃海部隊を送ったのが、自衛隊初の海外派遣だった。翌年にはPKO協力法が成立。カンボジアへ初めてPKO部隊が派遣され、海外での活動は本格化していった。

その後、活動は広がり、2001年のテロ対策特別措置法に基づく給油活動や03年のイラク人道復興支援特措法に基づく派遣、09年からのソマリア沖での海賊対処活動、災害時の国際緊急援助活動などに及ぶ。これまで海外派遣された自衛官は延べ約6万人に上る。

政府が積極的平和主義を掲げ派遣を拡大する一方、南スーダン派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題の発覚など、国民の不信感が拭われたとは言い難い。政府の説明が曖昧なことも一因だ。イラク派遣当時の小泉純一郎首相は国会で、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ」と答弁。17年の南スーダン撤収時には安倍晋三首相が「治安悪化が理由ではない」としたが、日報には「戦闘」の記述や不安定化する情勢が記されていた。

南スーダンからの撤収後、PKOに部隊は派遣されていない。PKO任務が停戦監視から武器使用を伴う文民保護にシフトしたことで、リスクが増大したためだ。これに伴い、日本には司令部要員や他国の要員養成が求められるようになった。

要員養成の実績は積み上がりつつある。陸上自衛隊は15年から、アフリカ諸国の施設部隊に重機の操作などを指導。昨年末からは国連の要請を受け、PKO工兵マニュアルの改訂作業を続けている。

今年4月には陸上自衛官2人を、エジプトとイスラエルの国境地帯で停戦維持を監視する「多国籍軍・監視団(MFO)」に、司令部要員として派遣。安全保障関連法施行で国連以外の活動も可能とした「国際連携平和安全活動」の初適用事例となった。

国連南スーダン派遣団内の宿営地で活動する自衛隊員=2012年2月、南スーダン・ジュバ国連南スーダン派遣団内の宿営地で活動する自衛隊員=2012年2月、南スーダン・ジュバ

イラク南部のサマワ市をパトロールする陸上自衛隊員=2004年1月、(AFP時事)イラク南部のサマワ市をパトロールする陸上自衛隊員=2004年1月、(AFP時事)

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