貿易戦争、日本の製造業を翻弄=関税上げスマホに拡大

政治・外交

米中の貿易戦争は、双方がほぼ全ての品目に追加関税を掛け合う最悪の事態が現実味を帯びてきた。米政府が発表した約3800品目を対象とした対中制裁関税の原案には、スマートフォンなど日本メーカーが部品供給し、中国で組み立てる製品も多い。米中は実際に発動に踏み切るのか、発動の場合はどれくらい続くかなど全てが予測不能な事態に日本企業は翻弄(ほんろう)される。

「想定を超える市場の変化があったとはいえ、このような事態になったことをおわびする」。2019年3月期連結純損益で1094億円もの大幅赤字に陥ったジャパンディスプレイ(JDI)の月崎義幸社長は15日の決算会見で陳謝した。JDIが売上高の大半を依存する米アップルは、中国経済減速の影響でiPhone(アイフォーン)の販売が低迷。JDIもそのあおりを受けた。

さらに米政府が発表した「第4弾」の制裁関税対象にはアイフォーンを含むスマホが加わった。発動されればJDIへの影響は避けられず、最大800億円の出資を約束していた中台企業連合は決定を先送りし、事業の再精査に着手。会見で大島隆宣最高財務責任者は「これまでの資産査定に懸念はなかったが、将来の事業でいろいろ変化があった」と述べ、関税引き上げ対象拡大の交渉への影響を認めた。

JDIと同様にスマホ向けパネルを中国企業などに供給するシャープは米中貿易摩擦の影響で、「特に(他社製品の設計・製造を受託する)ODMビジネスの下振れが大きい」(野村勝明副社長)という。第4弾が発動された場合、業績に打撃となりそうだ。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「日本の上場企業の純利益が19、20年度の合計で2.3%押し下げられる可能性がある」と指摘する。

2019年3月期連結決算の会見で、険しい表情を見せるジャパンディスプレイの月崎義幸社長=15日午後、東京都中央区2019年3月期連結決算の会見で、険しい表情を見せるジャパンディスプレイの月崎義幸社長=15日午後、東京都中央区

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