ビザ発給が拡大=ODAを代替、業務は複雑化

政治・外交

政府が途上国などへの査証(ビザ)発給を拡大している。厳しい財政事情に伴い、政府開発援助(ODA)がピーク時の半分程度に抑えられる中、ビザ発給要件の緩和が貴重な外交手段となっているためだ。ただ、発給業務は複雑化の一途をたどっており、在外公館では悲鳴が上がっている。

政府全体のODA予算は、1997年度の1兆1687億円をピークに減少傾向に転じ、2011年度以降は5500億円前後で推移している。

一方、安倍政権が訪日外国人観光客を増やす方針を打ち出したのと軌を一にして、ビザ発給要件の緩和が進んだ。今年もカタールとコロンビアに対し、有効期間内は何度も出入国できる数次ビザを導入。中国、インドに関しては、数次ビザの申請書類を簡素化するなどの措置を取っている。

各国で日本のビザは観光や商用、就労などで需要が高い。2国間の外交交渉でも、発給要件の緩和が取り上げられるケースが目立っている。外務省は4月、在外公館による2018年のビザ発給件数が過去最多を更新したと発表。13年と比べて4倍に近い695万2804件に達した。

ただ、外務省や観光庁がビザ拡大に前向きなのに対し、警察庁や法務省は治安悪化や不法就労などの懸念から慎重な立場。省庁間の綱引きの結果、「高所得者のみ」「観光のみ」といった部分緩和が多く、国ごとに対応も異なるため、発給業務は複雑化。外務省によると、在外公館からは「人手不足が深刻」「働き方改革に逆行する」といった声が漏れているという。

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