牛肉など農産物焦点=米大統領「8月決着」表明-政府、難しいかじ取り

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日米両政府は27日の首脳会談で貿易協定交渉の「早期決着」を目指し、協議を加速する方針で一致した。トランプ米大統領は会談の冒頭、「8月の大きな発表」に言及。牛肉など農産物の市場開放を求め、7月の参院選後、安倍政権に圧力をかける姿勢を示した。日米は自動車・同部品の対米輸出の扱いでも見解の隔たりが大きく、今後の激しい駆け引きが予想される。

政府は首脳会談に合わせ、BSE(牛海綿状脳症)対策で生後30カ月以下に制限していた米国産などの牛肉輸入規制を撤廃。防衛装備品の購入拡大方針も表明し、貿易不均衡の是正に取り組む意向を強調した。

国内で米国への「大幅な譲歩」(農業関係者)を警戒する声が強まる中、安倍晋三首相はトランプ氏から日本の政治事情に配慮する発言を引き出し、参院選前の決着を回避。しかし、環太平洋連携協定(TPP)発効などで、米農産物の対日輸出環境は悪化しており、米国内の早期合意への期待は大きい。トランプ氏は直後の8月を次のタイミングとして挙げ、交渉を急ぐ考えを示した。

交渉の焦点は市場開放の水準だ。日本は農産物について「TPPと同水準」にとどめる方針。牛肉の関税撤廃などはTPPを念頭に置いた交渉を探るが、トランプ氏は首脳会談後の記者会見で「TPPに縛られない」と語った。

日本がTPP締結国に設けた脱脂粉乳・バターの低関税の輸入枠も難題となる。枠はTPP離脱前の米国も念頭に最大7万トン(生乳換算)に設定され、交渉関係者は「新たに米国に大きな枠を設けたり、TPP合意国の分を動かしたりするのは、難しい」と漏らす。

日本が米国に求める自動車・同部品の関税撤廃・削減は難航が必至。政府高官は「一方的な農業市場の開放は受け入れられない」と強調するが、製造業復活を掲げるトランプ政権にとっては「センシティブな問題」(政府高官)。米国は自動車部品に航空機製造関連の製品などを含め、幅広い「部品」の関税率を守る意向だ。

日米の隔たりは大きいが、トランプ氏は「安全保障上の脅威」を理由に自動車の輸入制限の検討などでも日本に揺さぶりをかけている。参院選直後に「米国が納得できる成果」を見いだすことができるのか、政府は難しいかじ取りを迫られる。

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