旧優生保護法は違憲=国の賠償は認めず-強制不妊、初の司法判断・仙台地裁

社会

旧優生保護法に基づき不妊手術を強制された女性2人が、国を相手取り計7150万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、仙台地裁であった。中島基至裁判長は旧法の規定について、「個人の尊厳を踏みにじるものだ」と述べ、憲法に違反すると判断した。一方で、被害を救済する法律が作られなかったことについて、「立法措置が必要不可欠であることが明白だったとは言えない」と述べ、賠償支払いは認めなかった。

旧優生保護法の違憲性が争われた訴訟で、初の司法判断。7地裁で係争中の同種訴訟にも影響を与えそうだ。原告側は控訴する方針。

原告側は、旧優生保護法は違憲で、国が救済の立法措置を長期にわたり怠った「立法不作為」の過失があったと訴えていた。

中島裁判長は判決で、誰といつ子を持つかを選ぶ「性と生殖に関する権利」は、幸福追求権を保障する憲法13条に照らし尊重されるべきだと言及。強制不妊手術について「不合理な理由により、子を産み育てる幸福の可能性を一方的に奪い去るものだ」と述べ、旧法の規定は憲法に違反すると判断した。

その上で、旧法が推進した「優生思想」が法改正まで社会に根強く残っていたことや、手術を裏付ける証拠の入手が容易ではなかったことを挙げ、被害者が早期に賠償請求することは困難だったとし、救済のための新たな立法の必要性を認めた。

ただ、新たな法律の要件や賠償額などは、国会の裁量に委ねられていると指摘。さらに、国内では性と生殖に関する権利をめぐる法的議論の蓄積が少なく、旧法をめぐる司法判断もなかったとして、国会の立法不作為が違法とまでは言えないと結論付けた。

原告側は、不妊手術そのものに対する国の賠償責任も主張。これまで賠償請求できなかったことにはやむを得ない事情があり、20年で請求権が消滅すると規定した民法の「除斥期間」を原告らに適用するのは違憲と訴えたが、中島裁判長は除斥期間の規定には合理性があり、原告らに適用しても憲法に違反しないと判断した。

厚生労働省子ども家庭局母子保健課の話 判決内容を精査している段階。国の責任について、現段階でのコメントは差し控えたい。

強制不妊訴訟の判決を受け、不当判決の垂れ幕を掲げる原告団の弁護士=28日午後、仙台市青葉区の仙台地裁前強制不妊訴訟の判決を受け、不当判決の垂れ幕を掲げる原告団の弁護士=28日午後、仙台市青葉区の仙台地裁前

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