拉致解決へ糸口つかめず=ストックホルム合意から5年

政治・外交

北朝鮮が日本人拉致被害者らの再調査を約束した2014年5月のストックホルム合意から29日で5年が経過した。安倍晋三首相は金正恩朝鮮労働党委員長との会談を果たし、この合意を基に拉致問題の解決を迫りたい考えだが、日朝首脳会談実現の糸口は依然つかめていない。

「政府はストックホルム合意はまだ生きているという前提に立って取り組んでいる」。菅義偉官房長官は29日の参院拉致問題特別委員会で、合意は有効だと強調した。

ストックホルム合意は北朝鮮が拉致被害者らの再調査を行う見返りに、日本が独自制裁を一部解除する内容だ。北朝鮮は16年2月、日本が核実験などを批判して独自制裁を発動したことに反発し、調査中止を宣言。日本は抗議したが、北朝鮮は再開に応じていない。

日本政府は合意を「固く閉ざされていた交渉の扉を開き、北朝鮮に問題を解決する意思を表明させた」(菅長官)と重視し、交渉材料にできるとみている。前提条件なしの日朝首脳会談を呼び掛けている首相は、会談が実現すれば正恩氏に合意履行を迫る構えだ。

しかし、首相が27日のトランプ米大統領との共同記者会見で「現時点では会談のめどは立っていない」と認めたように、北朝鮮に軟化の兆しは見えない。朝鮮労働党機関紙の労働新聞は27日、拉致問題を「荒唐無稽な詭弁(きべん)で悪質な捏造(ねつぞう)」と断じる論評を掲載している。

日朝の交渉ルートは限定的とみられ、日本政府は6月5、6日にモンゴルで行われる「ウランバートル対話」の機会などを利用して北朝鮮との接触を探っている。西村康稔官房副長官は29日のラジオ番組で「何とか糸口を見つけたい」と苦しい状況をにじませた。

参院拉致問題特別委員会で答弁する菅義偉官房長官(左)。右は河野太郎外相=29日午後、国会内参院拉致問題特別委員会で答弁する菅義偉官房長官(左)。右は河野太郎外相=29日午後、国会内

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