支援団体「社会の理解を」=中高年引きこもり、偏見懸念-川崎襲撃

社会

川崎市多摩区で小学生らが襲われた事件で、自殺した岩崎隆一容疑者(51)は、長期間引きこもり状態だったとされる。支援団体などからは「引きこもりがまるで犯罪予備軍のような偏見が助長されないか」と、懸念の声が上がる。

支援活動などを行う一般社団法人「ひきこもりUX会議」は事件を受け、「引きこもりと殺傷事件を臆測や先入観で関連付けることを強く危惧する」などとする声明を発表した。家族らでつくる「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」も同様の声明を出し、上田理香事務局長は「偏見やレッテルが一層社会との断絶を生み、本人や家族を追い詰める」と訴えた。

「結果は分からないが、せめて誰かが寄り添えていれば」と悔やむ声もある。川崎市は岩崎容疑者の伯父らから2017年以降、計14回相談を受けていたが、主に介護に関する内容だったため、引きこもりについては伯父夫婦の意向をくんで様子見としていた。

引きこもり支援をするNPO法人「オレンジの会」の山田孝介代表理事は「結果論だが、もう少し関与してよかった」と指摘。「行政は暴力などの問題がないと動きづらいが、親が老いるほど解決は難しくなる」とし、「関係機関が連携して相談や訪問を続けつつ糸口を探る『積極的見守り』が大切だ」と提案した。

行政のミスマッチの可能性を挙げ、「民間の支援団体にも相談してほしかった」と話すのはKHJ共同代表で支援団体も運営する伊藤正俊氏。「離職を機に引きこもった中高年に、原因を確かめずに就労だけ勧める自治体も多い。立ち直った人の派遣や居場所の確保といった丁寧な対応は行政には難しい」と話す。

その上で、「ドロップアウトした人が復帰しづらい社会制度や、自分は拒絶されるという恐れが当事者をより追い詰めている」と強調。「誰かが手を伸ばせていれば、防げた悲劇もある。孤立を生まない寛容な社会であってほしい」と訴えた。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 事件・犯罪 川崎市 引きこもり 神奈川県