豊洲市場で女性、生き生きと=仲買人や競り人など活躍

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男性職場と言われている東京の魚市場などが、少しずつ変わり始めている。東京・豊洲市場(江東区)でマグロを競り落とす仲買人や卸会社の競り人、都内ですし職人を務める女性たちが、それぞれ存在感を増している。

豊洲市場でマグロの競りに臨む中嶋麻緒さん(31)は、祖父が旧築地市場(中央区)の仲卸をしていた縁で、別の仲卸「樋長」に入社。クロマグロに次いで高級とされる天然ミナミマグロなどを卸売場で品定めし、競り落としている。

仲卸店では確保した70キロ以上もあるマグロをさばき、仕入れに来る料理店関係者に販売する。中嶋さんは「料理屋さんで皿の上に盛り付けられるのをイメージしながら、卸売場でマグロを選ぶのが楽しい」と話す。

同市場の仲卸団体によると「移転前の築地から、マグロを競り落とす女性はほとんどいなかった」といい、活気あるマグロ売り場で紅一点、活躍を続けている。

仲卸などに魚を販売する卸会社には、女性が増えてきた。東京都によると「15年ほど前までは卸の女性で競り人資格を持つ人はいなかった」ものの、今では7人の女性競り人がいる。

豊洲市場の卸会社「築地魚市場」の競り人、井上朋子さん(35)は、入社後10年が経過。宮城県産のワカメやコンブなどの海藻類の卸売りを行っており、「東日本大震災から復興して出荷を続けてくれる産地業者さんのため、販路を拡大していきたい」と意気込む。

豊洲市場で定期的に魚介類を調達する女性すし職人も、話題性のある店で働き続けている。JR秋葉原駅近くにある「なでしこ寿司」(東京都千代田区)は、女性職人のみがすしを握る珍しい店。ここで2010年8月のオープン以来、店長を務めるのが千津井由貴さん(32)だ。

豊洲などで仕入れた魚を使った定番の握りのほか、野菜などと合わせた色鮮やかな「お造り」などを提供。千津井さんは、これまでアルバイト女性など100人以上にすし作りの技を伝授してきた。

秋葉原だけに「メイド喫茶などと勘違いして来るお客さんもいる」(千津井さん)というが、長年の経験を生かし「女性ならではの繊細さや色彩感覚を生かしたすし作りを意識しながら、おいしい魚を提供していきたい」(同)と意欲を燃やしている。

競り落としたマグロをさばく豊洲市場仲買人の中嶋麻緒さん=22日、東京都江東区の豊洲市場内競り落としたマグロをさばく豊洲市場仲買人の中嶋麻緒さん=22日、東京都江東区の豊洲市場内

築地市場時代に卸会社に入社し、丸10年が過ぎた豊洲市場競り人の井上朋子さん=5月14日、東京都江東区の豊洲市場内築地市場時代に卸会社に入社し、丸10年が過ぎた豊洲市場競り人の井上朋子さん=5月14日、東京都江東区の豊洲市場内

女性職人のみの都内すし店店長・千津井由貴さん=5月30日、東京都千代田区女性職人のみの都内すし店店長・千津井由貴さん=5月30日、東京都千代田区

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