芸人「闇営業」決別難しく=反社勢力リスクも、報酬魅力-専門家「対策考える契機に」

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事務所を通さずに活動して報酬をもらう「闇営業」で、反社会的勢力の会合に参加した吉本興業などの芸人が処分された。闇営業に暴力団などが入り込んでいる実態が明らかになり批判が高まるが、背景には芸人の収入の不安定さがあり、決別は容易ではない。専門家は「芸人をたたくだけでなく、反社会勢力にどう対応するか考えるきっかけにすべきだ」と話す。

吉本興業のお笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也さん(42)=解雇=が仲介し、「雨上がり決死隊」の宮迫博之さん(49)=謹慎処分=らが闇営業で特殊詐欺グループの会合へ参加したことが、写真週刊誌の報道で明らかにされたのが騒動の発端だった。その後、「スリムクラブ」も暴力団関係者の会合に出ていたと報じられた。

吉本興業ホームページによると、同社には約6000人の芸人が所属している。しかし、テレビ出演など会社経由の仕事で食べていける人は少ないとみられる。

闇営業はマージンなどを取られないため、実入りのいい仕事とされる。大手事務所の30代男性芸人は「闇営業が無いと生活が成り立たない」と訴えており、重要な収入源になっている。芸能関係者は「一発芸のようなネタを見せる番組が増え、多くの芸人が有名になったが人気を保てない。顔が売れアルバイトもできないので闇営業をする」と背景を説明する。

闇営業自体は違法ではない。ただ、犯罪収益が芸人への報酬に充てられた可能性はある。宮迫さんらが詐欺グループの会合に参加したのは2014年12月。警視庁はその後、同年11~12月に高齢女性から現金500万円を詐取した容疑などで、グループのリーダー格の男らを逮捕した。会合と詐欺が行われたとされる時期は近いが、捜査関係者は「詐取金から報酬が支払われたことなどを完全に証明できないと立件は難しい」と話す。

闇営業報道をめぐっては、吉本興業から、週刊誌掲載の写真が反社会勢力から購入したものではと疑う声も出ているが、出版社は否定している。

一連の報道について、日弁連民事介入暴力対策委員会の尾崎毅弁護士は「反社会勢力の追及ではなく、芸人をたたく構図になっている」と指摘。「一般人や企業を含め反社会勢力に巻き込まれないためにどう対応するか、考えるべきだ」と話す。

宮迫博之さん お笑いタレント宮迫博之さん お笑いタレント

「スリムクラブ」の真栄田賢さん(左)と内間政成さん「スリムクラブ」の真栄田賢さん(左)と内間政成さん

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