ホルムズ派遣、慎重に検討=課題山積、参院選後判断か-政府

政治・外交

米国が中東ホルムズ海峡などの海上警備のために提起した有志連合をめぐり、日本政府が慎重に対応を検討している。自衛隊法に基づく海上警備行動など自衛隊派遣の根拠がいくつか取り沙汰されているが、実際に派遣するとなれば詰めるべき課題は多い。政府は21日投開票の参院選後に何らかの動きに出るとみられるが、対応次第で世論の反発も想定され、難しい判断となりそうだ。

「米国をはじめ関係国と連携し、中東地域の緊張緩和、情勢の安定化に向けて外交努力を継続していきたい」。菅義偉官房長官は12日の記者会見で有志連合への対応を問われ、こう述べた。米国からの打診に関しては「さまざまなやりとりをしているが内容は控えたい」と否定はしなかった。

自衛隊派遣根拠として現時点で比較的可能性が高いとみられているのが、自衛隊法が定める海上警備行動だ。日本船籍や日本向けの荷を載せた船舶などの護衛が可能で、付近を航行する不審船への立ち入り検査もできる。ただ、日本に関わりがない外国船は対象外。武器使用も正当防衛などに制限され、米国が想定する「有志」としての活動要請に応えられない可能性がある。

ソマリア沖・アデン湾では現在、海賊対処法に基づき海上自衛隊の護衛艦などが活動している。同法を根拠とすれば、日本関係以外の船舶の護衛も可能だ。しかし、取り締まり対象は金品など狙う海賊に限られ、軍艦など外国政府の管理下にある船による脅威には対処できない。

2016年施行の安全保障関連法も派遣根拠になり得る。ホルムズ海峡の状況を「わが国の平和および安全に重要な影響を与える事態」である「重要影響事態」と認定すれば、米軍や有志連合参加国への後方支援ができる。国連決議に基づき各国が平和と安全を守るために有志連合に参加する場合も「国際平和共同対処事態」として後方支援などが可能だが、いずれも国会承認が必要で実現のハードルは高い。この枠組みでの派遣では、警護活動を担えないのもネックになる。

安保法制で道を開いた集団的自衛権の限定行使も理論的には可能との見方もある。ただ、国家間の武力衝突が起きていなければ、行使の要件である「存立危機事態」と認定できない。

新たに特別措置法を制定する方法もあるが、特措法を成立させるまでにはかなりの時間を要するとみられる。自民党ベテラン議員は「現行法体系では対応できない。特措法しかないだろう」と話す。とはいえ、安倍政権は「安保関連法により、あらゆる事態に切れ目のない対応が可能」と訴えてきただけに、特措法をつくろうとすれば世論の反発も予想される。

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