無党派層奪い合い=知事は距離置く-東京【注目区を行く】

政治・外交

参院選で全国最多の6議席を20人が争う東京選挙区。焦点は政治団体「れいわ新選組」を発足させた山本太郎が6年前に獲得した約67万票の行方だ。当落選上でひしめく野党候補は、宙に浮いた無党派層の票をめぐり激しい争奪戦を繰り広げる。一方、2年前の衆院選で一時は「旋風」を巻き起こした都知事の小池百合子は、熱戦を遠巻きに眺めている。(敬称略)

「あなたの力が必要だ」。立憲民主代表の枝野幸男は4日、JR新宿駅東南口で、傍らに立つ塩村文夏と山岸一生の両新人への支持を呼び掛けた。

結党当初の勢いは今の立憲にはない。2人擁立の方針に対し、関係者からは共倒れを懸念する声が上がっていた。だが、山本が公示直前に東京選挙区から比例代表への転出を表明したため、立憲関係者は一様に「わが党に有利に働く」と色めき立った。れいわも元塾講師の野原善正を立てているものの、タレント活動などを経て政界入りした山本との知名度の差は歴然だからだ。

立憲は塩村が区部、山岸が西部の三多摩地域を主な活動エリアとする地域割りを実施。元都議の塩村は9日、荒川区の東京メトロ町屋駅前で「国会の景色、私は変えたい」と女性議員を増やすよう訴えた。元新聞記者の山岸は7日、JR中野駅前で「取材力と質問力には自信がある。国会に送ってもらえたら、必ず政府に鋭く突っ込んでいく」と聴衆に約束した。

難しい状況に立たされたのが連合だ。国民民主も宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員の水野素子を立てたため、連合東京は「応援しにくい形になった」(幹部)として静観の構え。推薦の依頼は断り、3者とも支持にとどめた。「政党のごちゃごちゃで、われわれの組織がぐちゃぐちゃにされた」(同)。旧民進分裂の余波で組織が傷ついたことへの憤まんは、なお渦巻いている。

山本の比例転出を歓迎するのは、日本維新の会から立候補した元都議の音喜多駿も同様だ。山本の支持層は音喜多と重なる部分があるとみて、陣営は「敵の背中が見えてきた」と期待を示す。維新代表の松井一郎も大阪から駆け付け、懸命に追い上げを図る。

音喜多は、知事小池がつくった地域政党「都民ファーストの会」で都議団幹事長を務め、その後に党運営に反発して離党した経緯がある。小池の求心力低下を横目に、定数2以上の複数区で2人目として当選した都民ファーストの元同僚都議に協力を求めている。

2年前の都議選で圧勝し、その後の衆院選で敗れた小池は「国政との間隔を程よく保っていきたい」として、今回の参院選では候補者を擁立しなかっただけでなく、特定の政党を応援しない考えを明らかにしている。来年の都知事選での再選を見据え、自民を刺激することは避けているもようだ。

◇公明VS共産

「山本」票の争奪戦を優位に運んでいるとみられるのが共産現職の吉良佳子だ。主張には共通点があり、山本は他の選挙区で共産候補を応援するなどしている。吉良自身も「一致できる政策がたくさんあるという点では、力を合わせていければ(いい)」と語り、無党派層への支持拡大へ自信をにじませた。

共産と長年のライバル関係にある公明の代表山口那津男は心中穏やかでない。党首としてのメンツが懸かるため、陣営は「吉良に負けたら敗北だ」と組織固めに力を入れる。山口は11日、JR北千住駅前で「無責任な人たちに任せるわけにはいかない」と声を張り上げた。

自民は現職2人が議席維持を狙う。副総理麻生太郎は8日、目黒区で開かれた集会で「1人が200万票を取っても2議席にはならない。何の意味もない」と述べ、武見敬三への支持を訴えた。自民選対委員長の甘利明も「もう一人の方、断トツ強い」と危機感を示した。

6年前にトップ当選した丸川珠代は知名度抜群。7日のJR中野駅前では、激しい雨にもかかわらず集まった聴衆に「引き続き働かせていただきたい」と力を込めた。陣営関係者は「武見の票を1票でも奪うという気概でやってる」と語り、緩みはない。

◇立候補者名簿

【東 京】

丸川 珠代 48 元五輪担当相  自現(2)

塩村 文夏 41 元都議     立新

武見 敬三 67 元厚労副大臣  自現(4)

山口那津男 67 党代表     公現(3)

溝口 晃一 50 カメラマン   諸新

森   純 71 元会社員    無新

山岸 一生 37 元朝日新聞記者 立新

吉良 佳子 36 党中央委員   共現(1)

水野 素子 49 JAXA職員  国新

関口 安弘 67 会社役員    無新

佐藤  均 48 会社役員    諸新

朝倉 玲子 60 労組書記長   社新

音喜多 駿 35 元都議     維新

七海ひろこ 34 幸福実現党員  諸新

横山 昌弘 76 元小金井市議  諸新

野原 善正 59 元塾講師    諸新

西野 貞吉 83 元運転手    無新

大橋 昌信 43 元朝霞市議   諸新

大塚紀久雄 78 不動産業    諸新

野末 陳平 87 元参院議員   無元(4)

(注)敬称略。届け出順。年齢は投票日現在。党派名は自=自民、公=公明、立=立憲民主、国=国民民主、共=共産、社=社民、諸=諸派、無=無所属。丸数字は当選回数。

参院選候補者らの演説に耳を傾ける有権者=12日、東京・JR品川駅港南口(一部画像処理しています)参院選候補者らの演説に耳を傾ける有権者=12日、東京・JR品川駅港南口(一部画像処理しています)

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