硫黄島、南極からも=自衛隊員ら不在者投票【19参院選】

政治・外交 社会

旅行や入院などで投票所に行けない場合に利用できる不在者投票制度。仕事の都合で太平洋上の孤島や南極にいる人にも、21日投開票の参院選に1票を投じる権利は保障されている。

東京都心から南に1000キロ超。一般住民のいない硫黄島と南鳥島には、航空基地維持のため海上、航空両自衛隊の約340人が駐屯する。両島とも東京都小笠原村だが、隊員の多くは海自厚木基地がある神奈川県綾瀬市の住民だ。

綾瀬市選挙管理委員会の男性職員は11日、約3時間かけて輸送機で硫黄島に行き、基地内に投票所を開設した。翌日、投票用紙を回収して戻った職員は「一人一人の声を1票という形で国に届けられる意義深い業務」と話した。同市以外に住む隊員の投票用紙は、21日までにそれぞれの住所地に郵送する。

南鳥島には気象庁職員らも常駐。調理担当の外部職員を含む10人が気温や風速の測定、気球を飛ばしての高層気象観測を行っている。

職員は3カ月交代で、本庁や札幌、福岡などの気象台から出張する。住民票はそれぞれの居住地にあり、選挙の時は投票用紙を取り寄せるが、「参院選は日程が予測できるが、急な解散による衆院選では間に合わない」(同庁担当者)。日本最東端の島には選挙カーも来ない。引っ越したばかりだと適当な候補者が分からず「はて、誰に投票すべきか」と迷うこともあるという。

日本から1万4000キロ離れている南極からも投票できる。現在31人いる南極地域観測隊員は、本来の住所がある市町村に申請し、「南極選挙人証」を受領。投票所は越冬隊長の管理の下、昭和基地内に開設される。

投票用紙はファクスで東京都中央区か港区の選管に送信し、各市町村に転送される。国立極地研究所によると、2017年の衆院選時には「南極の地で国政選挙の投票ができるのは貴重な体験だ」と話す隊員もいたという。

遠洋漁業などに従事する船からの「洋上投票」でもファクスが使われる。乗組員が船内から選管に票を送信するが、導入当初の00年は762人だった利用者は、17年の衆院選では過去最低の50人にまで落ち込んでいる。

硫黄島基地で参院選の不在者投票する海上自衛隊員ら=11日午後(海自提供)硫黄島基地で参院選の不在者投票する海上自衛隊員ら=11日午後(海自提供)

前回の参院選で、昭和基地で不在者投票する南極地域観測隊員=2016年7月(国立極地研究所提供)前回の参院選で、昭和基地で不在者投票する南極地域観測隊員=2016年7月(国立極地研究所提供)

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 選挙 社会一般 東京都 神奈川県