年金財政検証、8月公表で調整=社会保障改革「痛み」焦点

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政府は、参院選でずれ込んでいた公的年金の健全性をチェックする「財政検証」を、8月下旬にも公表する調整に入った。秋の臨時国会は、検証結果を踏まえた制度の在り方や老後生活をめぐる論戦が注目されそうだ。秋以降には、膨張する社会保障費への対応策も議論が始まる見通し。ただ、高齢者の負担増など「痛み」を伴う改革には与野党とも及び腰だ。

財政検証は5年に1度行われ、物価や人口推計を基に100年先までの給付水準を試算する。前回は2014年6月3日の公表だった。厚生労働省幹部は「まだ完全にまとまっていない」と話しており、詰めの作業が続いている。

今回の検証では「オプション試算」として、短時間労働者らの厚生年金加入拡大や、働く高齢者への年金減額措置見直しなどの影響も想定する。安倍晋三首相は22日の記者会見で「70歳までの就業機会を確保する。年金の受給開始時期を遅らせ、月々の年金額を増やすことができる選択肢を拡大する」と表明した。

政府は来年の通常国会に提出する関連法改正案にもこうした制度改正を反映。少子高齢化の中でも「担い手」を増やして年金財源を確保する考えだ。

人口減少を踏まえ、物価や賃金が上昇しても年金給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」については、将来世代の年金額を確保するため、デフレ下でも発動できるよう見直しを求める意見が政府内にある。これに対し野党の一部は参院選で廃止を主張。国会論戦でもテーマに上りそうだ。

一方、10月の消費税増税がほぼ確定したことを受け、社会保障の「給付と負担」の見直しに向けた新たな議論を模索する動きも出ている。

「団塊の世代」が75歳以上に入ることで、社会保障費のさらなる急増が予想されるためだ。政府は20年度の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で、医療・介護を含む改革案を取りまとめる方針。後期高齢者の医療費自己負担の引き上げや介護メニューの見直しなどが浮上している。

ただ首相は選挙戦で、さらなる消費増税は「今後10年必要ない」と発言。年末や来年冒頭の衆院解散の見方もくすぶる中、政府内では「負担増につながる改革の機運は薄れた」「心理的な影響は小さくない」(財務・厚労両省幹部)との指摘が相次いでおり、負担増に向けた本格的な議論の見通しは不透明だ。

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