建設無人化、プラごみ根絶=「人工冬眠」で長寿実現-政府、野心的研究1千億円投資

政治・外交

人工知能(AI)やロボットを活用した建設工事・農林水産業の完全無人化や、地球上からのプラスチックごみ根絶、冬眠による長寿実現…。政府は31日、困難な社会的課題を解決するための野心的な研究開発に投資する「ムーンショット型研究開発制度」に関する有識者会議(座長・小林喜光前経済同友会代表幹事)を内閣府で開き、3分野計25の目標候補を設定した。

3分野は(1)少子高齢化の克服(2)地球環境の回復と都市文明の発展(3)科学技術による新分野開拓。今後、専門家へのヒアリングなどを通じ対象テーマを5~10個程度に絞り込む。年末にも総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)で正式決定し、年明けから研究開発プログラムを公募する。5年間で総額1000億円余りを投じる計画だ。

目標候補には、現在の技術水準では達成が容易ではない大胆なものが列挙された。少子高齢化対策では、人手不足に対応するため、AIやロボット技術を駆使し、農林水産業や建設現場の完全無人化システムを2040年までに構築することを目指す。老化で衰える五感や認知・運動機能を補強するため、身体とロボットを融合した「サイボーグ」技術を50年までに確立する。

環境回復と都市文明の発展では、プラごみの自動回収・資源化技術や代替素材の開発により50年までに地球上からプラごみを根絶。太陽光の完全活用や微生物が持つ発電能力などによってエネルギーの完全自給体制を確立する。

科学技術による新分野開拓では、動物の冬眠を人間に応用する「人工冬眠」技術を50年までに確立し、健康寿命を延ばす。AIが膨大な実験データから自律的に仮説をつくり、実験をロボットに自動化させることでノーベル賞級の発見を次々と生み出す自動化システムもつくる。

ムーンショットは、月に人類を到達させたアポロ計画のように、実現すれば社会に大きなインパクトをもたらす研究開発を指す。有識者会議は落合陽一・筑波大准教授やSF作家の藤井太洋氏らが名を連ねた。

25の目標候補は、産業界、関係省庁、一般から集めた提案を踏まえ、選ばれた。多額の公費を投じるだけに「絵に描いた餅」にならないよう、実現可能性がある目標を選び出せるかが課題となる。

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