核使用の危険高まる=市民社会の力に期待-74回目、長崎原爆の日

社会

長崎は9日、74回目の原爆の日を迎え、爆心地に近い長崎市松山町の平和公園で、市主催の平和祈念式典が営まれた。田上富久市長は「核兵器が使われる危険性が高まっている」と指摘し、市民社会の持つ力の重要性を強調。一人ひとりが「核兵器はいらない」と声を上げるよう訴えた。

式典には、被爆者や遺族、安倍晋三首相らが参列し、犠牲者の冥福を祈った。米ロ中など6カ国の核保有国を含め66カ国の代表も参加した。

7月末までの1年間で新たに死亡が確認された3402人の名簿を遺族らが奉安。犠牲者に水と花輪をささげ、原爆投下時刻の午前11時2分、鐘の音に合わせて1分間黙とうした。原爆死没者数は18万2601人となった。

田上市長は平和宣言で、米ロの中距離核戦力(INF)全廃条約の失効など現在の国際情勢を踏まえ、「人類の努力の成果が次々と壊されている」と危機感をあらわにし、米ロに対し、核兵器を大幅に削減する具体的道筋を示すことを求めた。

また、初めて被爆者の詩を引用し、被爆の惨状や「繰り返してはならない」という被爆者の思いを訴えた。核兵器禁止条約の成立など「市民社会の力は、これまでも世界を動かしてきた」と指摘。世界の市民社会に「戦争体験を語り継ぎ、国を超え人と人との間に信頼関係をつくり、『平和の文化』を育て続けよう」と呼び掛けた。

日本政府に対しては、一刻も早い核兵器禁止条約への署名、批准を要請。憲法の平和の理念の堅持と、それを世界に広げるリーダーシップを発揮するよう求めた。

続いて、被爆者代表の山脇佳朗さん(85)が「平和への誓い」を読み上げ、安倍首相があいさつ。首相は来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、「意義ある成果を生み出すために、各国に積極的に働き掛ける決意だ」と述べたが、広島に続き、今年も核兵器禁止条約には言及しなかった。

平和祈念式典で、平和宣言とともに空へ放たれたハト=9日午前、長崎市松山町の平和公園平和祈念式典で、平和宣言とともに空へ放たれたハト=9日午前、長崎市松山町の平和公園

平和祈念式典で平和宣言を読み上げる長崎市の田上富久市長=9日午前、長崎市松山町の平和公園平和祈念式典で平和宣言を読み上げる長崎市の田上富久市長=9日午前、長崎市松山町の平和公園

平和祈念式典で、原爆投下時刻に黙とうする人たち=9日午前11時2分、長崎市松山町の平和公園平和祈念式典で、原爆投下時刻に黙とうする人たち=9日午前11時2分、長崎市松山町の平和公園

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