被爆証言誌が創刊50年=長崎から反戦反核訴え-市民団体

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長崎市の市民団体「長崎の証言の会」が刊行する被爆証言誌が9日、創刊から50年を迎えた。これまでに延べ約2000人の被爆体験を記録。戦争や核兵器の非人道性を告発し、反戦反核の思いを訴え続けている。

創刊号は1969年8月9日、「長崎の証言」として刊行。巻頭言には「今後さらに証言を掘り起こし、新しい核戦争への危険と被爆者の権利じゅうりんを告発する誘い水となることを願って」と当時の思いが記されている。

年1~4回発行を続け、昨年で75冊に上った。2006年には、約1000編の被爆体験の中から38編を再録した本を出版。外国人にも読んでもらえるように、英語版も作った。

事務局長の森口貢さん(82)は「被爆の惨状だけではなく、証言を通して反戦反核の気持ちを訴えている」と強調。「広島・長崎の証言がもっと広まり、その思いを世界の人々が共有したとき、核兵器が使われるのを止める一番の力になる」と話した。

証言誌では、被爆体験に加えて、その時々の核をめぐる世界情勢や反核運動の動きを追った特集も組んでいる。編集長の山口響さん(43)は「原爆被害と核の現状を1冊の中で示すことで、問題の幅の広がりを示せる」と説明する。

一方で、被爆者の平均年齢は82歳を超え、証言集めも年々難しくなる。山口さんは、被爆者がその後どのように生きたのかといった「戦後史」にも着目。「被爆者と生活したり、その生きざまに触れてきたりした人の証言も得たい」と話した。

「読む人によって証言のどの部分に心が反応するかは違うから、証言を積み重ねることには意味がある」と山口さん。「まだ被爆者がいなくなった時代ではない。記録する使命は変わらない」。被爆証言を集め続ける決意は揺るがない。

これまで発行した証言誌を前に、創刊号を手にする「長崎の証言の会」事務局長の森口貢さん=7月19日午後、長崎市これまで発行した証言誌を前に、創刊号を手にする「長崎の証言の会」事務局長の森口貢さん=7月19日午後、長崎市

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