息切らし、頬伝う汗=276人が慰霊登山-日航機墜落34年

社会

520人の死者を出した日航機墜落事故から34年となった12日、遺族や関係者らは現場となった群馬県上野村の「御巣鷹の尾根」を次々と訪れ、犠牲者への思いを新たにした。日本航空によると、同日に慰霊登山をしたのは276人。尾根は標高約1560メートルの険しい山道で、人々は息を切らし、頬を伝う汗を拭いながら、一歩ずつ歩みを進めた。

事故で3人の娘を失った兵庫県西宮市の田淵親吾さん(90)は「(慰霊登山は)年齢から言うと限界かもしれない」と思っている。それでも亡くなった3人を思い、墓に水を掛けた。「息をしている間は」と、これからも来るつもりだ。

「ここに来ると思い出す。空の安全を見守ってほしい」。当時、日航の客室乗務員だった東京都練馬区の50代女性は涙声で話した。何人もの掛け替えのない同僚が亡くなったこの場所を毎年訪れ、墓標に花を手向けている。「何年たっても忘れない」と声を振り絞った。

東京都東村山市の松浦明美さん(69)も、姉=当時(41)=の名が記された墓石に花を供えた。大阪府八尾市に帰る途中で事故に遭った姉は、5人きょうだいだった松浦さんにとって年齢が近く、非常に仲の良い関係だった。

「来ないではいられない」と話す松浦さんは、姉がなぜ死ななければならなかったのか、割り切れない思いを抱え続けている。「事故原因について分からないことが多い。説明責任を果たしてほしい」と、日航への不信感をにじませた。

日航の赤坂祐二社長は同日昼すぎに墜落現場に建つ「昇魂之碑」を訪れ、献花した。パイロットらの飲酒問題に触れ、「痛恨の不祥事。申し訳ないという一心で登ってきた」と述べた。

同日夕には尾根の麓にある「慰霊の園」で追悼慰霊式や供養が行われた。暗闇が広がる墜落時刻の午後6時56分には、黙とうがささげられた。

520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から34年が経過し、墜落現場「御巣鷹の尾根」にある「昇魂之碑」で故人の冥福を祈る遺族=12日、群馬県上野村520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から34年が経過し、墜落現場「御巣鷹の尾根」にある「昇魂之碑」で故人の冥福を祈る遺族=12日、群馬県上野村

日航機墜落事故から34年の追悼慰霊式終了後、会場の「慰霊の園」に刻まれた犠牲者の名前を前に、祈りをささげる遺族=12日午後、群馬県上野村日航機墜落事故から34年の追悼慰霊式終了後、会場の「慰霊の園」に刻まれた犠牲者の名前を前に、祈りをささげる遺族=12日午後、群馬県上野村

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