聖地巡礼ブームを拡大=京アニ作品、地域活性化に貢献

社会

放火殺人事件で35人が死亡した京都アニメーション(京都府宇治市)は、「けいおん!」など数多くのヒット作を手掛けた。作品は実在の町を舞台にしたものも多く、ファンがゆかりの地を訪れる「聖地巡礼」ブームが拡大するきっかけをつくるなど、地域活性化にも貢献した。

アニメの聖地巡礼がいつ始まったか、特定は難しいが、2000年代にメディアに取り上げられるようになり、ファンの間で浸透したとされる。16年公開の大ヒット映画「君の名は。」で一般にも広く知られるようになった。

ブーム拡大のきっかけの一つが京アニの代表作「らき☆すた」とされる。埼玉県久喜市の鷲宮神社は作品に登場する「鷹宮神社」のモデルとして知られ、07年のアニメ放送開始後から参拝客が急増した。

地域とファンが協力し合い、オリジナルグッズの販売や地元の祭りでキャラクターが描かれたみこしをファンが担ぐ催しを毎年開催。リピーター客も多く、日本政策投資銀行によると、アニメ放送開始後10年間の経済波及効果は約31億円に上る。

氷川竜介・明治大大学院特任教授(アニメ・特撮研究)は「『らき☆すた』は聖地巡礼ブームを拡大させ、地方活性化をリードした」と分析する。

京アニ作品は地元の宇治市にも貢献。人気作「響け!ユーフォニアム」は同市が舞台で、登場する大吉山展望台はそれまでほとんど人が訪れなかったが、アニメ放送開始後に登山客が増加した。放送開始の15年からこれまで、市観光協会が置いたファンの「交流ノート」はすでに35冊に上り、韓国語や中国語の書き込みも多い。

同協会の多田重光事務局長(54)は「今まで目を向けられていなかったスポットに人が集まるようになり、アニメ好きの若い男性観光客が増えた」と実感を語る。

現代文化に詳しい近畿大の岡本健准教授(観光学)は京アニ作品が果たした役割について、「アニメのクオリティーが高く、実際に舞台を訪れたいと思うファンの自発性を喚起した。京アニ作品は聖地巡礼ブームの礎をつくった」と話している。

京都アニメーション作品「響け!ユーフォニアム」の聖地とされる宇治橋=7月29日、京都府宇治市京都アニメーション作品「響け!ユーフォニアム」の聖地とされる宇治橋=7月29日、京都府宇治市

宇治市観光協会に置かれている「響け!ユーフォニアム」ファンの「交流ノート」=7月31日、京都府宇治市宇治市観光協会に置かれている「響け!ユーフォニアム」ファンの「交流ノート」=7月31日、京都府宇治市

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