海の家でもキャッシュレス=東京五輪控えじわり拡大-変化に戸惑う声も

経済・ビジネス

2020年東京五輪・パラリンピックに向けて外国人観光客の増加が見込まれる中、カードや電子マネーなどキャッシュレス決済の普及が進んでいる。海水浴場や商店街でも「非現金払い」がじわり拡大。政府は10月の消費税増税に合わせて実施するポイント還元制度でこうした取り組みを支援する。一方、高齢層や地方を中心に急速な時代の変化に戸惑う声も少なくない。

「ぬれた手でお札を触らなくていいのはありがたい」。神奈川県葉山町の海水浴場にある海の家「SAIL HUS」でビールを注文した東京都渋谷区の自営業、星野雄三さん(31)はキャッシュレス決済の便利さを実感した。

この店では今夏から「テーブルチェックオートペイ」と呼ばれるサービスを導入。予約時にクレジットカード番号を登録しておけば、店員にカードやスマートフォンを見せなくても実際に飲食した代金が自動的にカードから引かれる仕組みだ。店長の中城真介さん(36)は「海水浴客がストレスを感じない環境をつくりたい」と話す。

下町の風情にあふれ、多くの観光客でにぎわう東京都台東区の商店街「谷中銀座」。たこ焼き店「谷中たこ坊」は昨年、スマホで支払うQRコード決済を始めた。しかし1日の利用者は数人程度。規格が違うため外国人客の端末では決済できないことも多い。従業員の岩本明美さん(51)は「まだ思ったほどの効果は出ていない」と今後の盛り上がりに期待する。

一方、昔ながらの小規模店舗の多くはこうした取り組みに消極的だ。谷中銀座の近くで焼き鳥店を営む70代の男性はキャッシュレス決済について「よく分からない。お金も掛かるし、面倒だ」と当面は導入しない考えだ。

経済産業省によると、日本の家計消費支出のうち非現金の支払いが占める割合は15年時点で18.4%。韓国(89.1%)や中国(60%)に比べて大きく見劣りする。民間決済事業者の調査では、外国人観光客のうち4割が現金しか使えず不満を抱いたと回答。現状が改善されなければ、五輪で訪日客の増加が見込まれる20年に1兆円強の機会損失が発生するとの試算もある。

現金を使わないキャッシュレス決済サービスが利用できる海の家「SAIL HUS」=6日午前、神奈川県葉山町現金を使わないキャッシュレス決済サービスが利用できる海の家「SAIL HUS」=6日午前、神奈川県葉山町

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