夜間中学を日本中に=上映キャラバンで機運盛り上げ

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在留外国人や不登校経験者の増加で必要性が高まる夜間中学。政府は各都道府県に少なくとも1校設置する方針だが、現状は9都府県33校にとどまる。この状況に、元教員や生徒らが「設置の機運を高めよう」とドキュメンタリー映画を上映する全国キャラバンを準備している。

上映するのは、森康行監督が関東と関西の夜間中学の生徒や卒業生の姿を記録した「こんばんはII」。10月5日に札幌市で出発式を行い、1年をかけ全都道府県で順次開催する。上映の予定はウェブサイトに掲載される。

先月開いた記者会見で、映画に出演した元カンボジア難民の伊東久里寿那さん(47)は「来日後に日本語の読み書きができず生きる意味を失っていたが、学ぶことで社会に出られた」と述懐。市民運営の自主夜間中学に通う宇佐美淳さん(37)は「学びを諦めた人に映画を見てもらい希望を持ってほしい」と訴えた。

教員らで構成する全国夜間中学校研究会は、義務教育を十分に受けられなかった人が百数十万人いると推計。ただ、こうした人に夜間中学の存在が知られていなかったり、近くになかったりするのが現状だ。

政府は昨年閣議決定した教育振興基本計画で夜間中学を全国に設置する方針を示した。今年4月には埼玉、千葉両県の2校が開設し、この他にも数カ所で設置の動きがあるが、見通しの立たない県が多数を占める。原因として、自治体が生徒になり得る人のニーズを十分把握できていないことや、費用負担をめぐる自治体間の連携がうまくいっていないことが挙げられる。

このため文部科学省は2020年度に向けて予算を増額要求し、生徒のニーズ調査などへの補助事業を始める。24年度までに全国での設置を目指す計画で、担当者は「先行例からノウハウを学ぶことで設置を加速させたい」と話す。

URLは、http://www.konbanha2.com。

映画「こんばんはⅡ」に収録された大阪市立天満中夜間学級の授業風景(森康行監督提供)映画「こんばんはⅡ」に収録された大阪市立天満中夜間学級の授業風景(森康行監督提供)

夜間中学の全国設置に向けた上映キャラバンの記者会見の出席者ら=8月22日、東京都荒川区夜間中学の全国設置に向けた上映キャラバンの記者会見の出席者ら=8月22日、東京都荒川区

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