安全基準・設備更新で課題=停電復旧、想定外の長期戦に

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台風15号の上陸に伴い千葉県内で発生した停電の復旧作業は最長で27日までかかる長期戦となり、安全基準や設備更新の在り方などをめぐる課題も浮き彫りにした。世界的な気候変動を受けて自然災害が激しさを増す中、今回の教訓を将来に生かせるか。対策強化に向けて復旧後の検証が求められそうだ。

停電拡大の一因は、同県君津市で鉄塔2基が倒壊したことだ。最大停電戸数約93万のうち、鉄塔倒壊の影響は10万程度に上ったとみられる。鉄塔の修復には長期間を要するため、東京電力ホールディングスは通常とは違うルートで送電することで電力供給を回復した。

経済産業省の基準では風速40メートルにも耐えられるよう求めており、倒れた鉄塔もこの基準を満たしていた。しかし、台風15号は千葉市中央区で最大瞬間風速57.5メートルを記録。菅原一秀経産相は「気候変動により、これまでの常識を超える風速、雨量などさまざまな変化が起きている」と述べ、設備強化に取り組む考えを示している。

東電は送配電網の設備投資に、1991年には約9000億円を投じていたが、2015年には2100億円まで減少した。この結果、設備の老朽化が被害の拡大につながった可能性を指摘する声は少なくない。

東京電力パワーグリッドの塩川和幸技監は13日夜の記者会見で、90年代までと比べて近年は新規の投資案件が減っているものの、設備の維持・補修費は数%しか減少していないと説明。「劣化した設備を放置して投資額を抑えることは会社の存在意義を否定する」と語り、投資圧縮が停電長期化を招いたとの見方に反論した。

台風15号が猛威を振るってから間もなく1週間。東京電力福島第1原発事故への対応で厳しい経営環境が続く中、同社は強靭(きょうじん)な電力網の維持という課題を突き付けられている。

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