リンゴ農家「今年はだめだ」=台風19号による浸水被害で全滅-長野

社会 暮らし

台風19号で千曲川の堤防が決壊し、広範囲で浸水した長野市穂保地区では、リンゴ農家も深刻な被害を受けた。一度水に漬かったリンゴはジュースやジャムにもできず、出荷はできない。農家は「全滅だ」と下を向いた。

土屋清さん(81)は代々続くリンゴ農家の4代目。約100アールの畑に232本のリンゴを栽培しているが、そのほとんどが浸水した。出荷できるのは、木の上部になり水が及ばなかった実や離れた場所にある畑のリンゴで、全体の1割ほどだという。

栽培するリンゴのほとんどは「ふじ」で、収穫の最盛期は11月中旬。冬には剪定(せんてい)、春には農薬散布など手塩にかけて育てた。「いよいよという収穫時期を待っていた」とやり場のない悔しさをにじませた。

自宅は1階が浸水し、連日、家財の搬出や清掃作業に追われている。土屋さんは今後のことは考える余裕がないという。ただ、代々継承されてきたリンゴ畑で、「次の代まで守り続けたい」と力を込めて話した。

一方で、収穫する時間を取れず残念がる農家も。米沢孝典さん(81)は「リンゴを採っている場合じゃない」と大きなため息をついた。約140本のほとんどが浸水したが、一部は被害を免れた。

一日も早く自宅に戻れるよう、泥のかき出しや家の中の清掃が最優先。「採りたくて採りたくて。でもリンゴは諦めた」と話し、「毎年リンゴを楽しみにしている人に『今年はだめだ』というのが切ない」と肩を落とした。

水に漬かったリンゴの被害について話す土屋清さん=16日、長野市水に漬かったリンゴの被害について話す土屋清さん=16日、長野市

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 災害 暮らし 甲信越 長野県 長野市