皇位継承論議、先送り限界に=結論は棚上げか-安倍政権

政治・外交 社会

天皇陛下の「即位礼正殿の儀」が終わり、安倍政権はこれまで避けてきた皇位の安定継承をめぐる議論を先送りできない状況に追い込まれつつある。11月中旬の大嘗祭後、ようやく着手する見通しだが、女性・女系天皇に対する保守派の反対論は根強く、主要論点に関する結論は棚上げになる公算が大きい。

22日の「即位礼正殿の儀」に出席した11人の皇族のうち、男性は秋篠宮さま(53)と常陸宮さま(83)の2人だけだった。皇族が減少する中、皇位継承資格者は悠仁さま(13)を加えた3人のみで、このままでは皇位が途絶えかねない現実が改めて鮮明になった。

安倍政権の動きが鈍い背景には、議論が始まれば保守派が反対する女性・女系天皇容認論が再燃する可能性があるためだ。菅義偉官房長官は23日の記者会見で「男系継承が古来例外なく維持されてきた重みを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行っていく必要がある」と強調した。

とはいえ、国会は上皇さまの天皇退位を認めた際の付帯決議で、皇位継承後速やかな安定化策の検討を政府に要求。これを踏まえ、政府も「付帯決議の趣旨を尊重して対応していく」(菅官房長官)と繰り返してきた。

このため、政府は重い腰を上げ、11月14~15日の大嘗祭後にも議論に着手。静かな環境で議論するため、有識者会議は設けず、識者への聴取を重ねる方向だ。

皇位継承の安定化策をめぐっては、小泉内閣の有識者会議が2005年、「女性・女系天皇に道を開くことが不可欠」との報告書をまとめた。しかし、これまで8人いる女性天皇と違い、女系天皇は例がなく、保守派が強硬に反対。首相自身もかつて異論を唱えたことがある。

一方、保守派は1947年に皇籍離脱した旧皇族の皇籍復帰を主張。23日には自民党保守派でつくる「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表幹事・青山繁晴参院議員)が「女系天皇を認めれば天皇家の皇室は終わる」として、皇籍復帰を提言した。ただし、旧皇族は半世紀以上を一般国民として過ごしており、世論の理解が得られないとの声が根強い。

政府の検討が始まると、現在の皇位継承順位とも絡んで議論の過熱が懸念され、政府内には、議論着手について、来年4月の「立皇嗣の礼」後への先送りを求める声も残る。「結論は十数年後」(政府高官)との意見もあり、女性宮家の是非を除き結論は棚上げになるとの見方は強い。国民民主党の玉木雄一郎代表は23日の会見で「先送りは絶対許されない」とクギを刺した。

記者会見する菅義偉官房長官=23日午前、首相官邸記者会見する菅義偉官房長官=23日午前、首相官邸

自民党の「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」の総会終了後、記者会見する代表幹事の青山繁晴参院議員(右から2人目)=23日午前、東京・永田町自民党の「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」の総会終了後、記者会見する代表幹事の青山繁晴参院議員(右から2人目)=23日午前、東京・永田町

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 政府・内閣 皇室・王室 社会 日本