チリ、APEC開催断念=デモ・暴動拡大、COP25も-日ロ首脳会談見送り

政治・外交

【サンパウロ、モスクワ時事】南米チリのピニェラ大統領は30日、大統領府で声明を出し、社会格差是正を求める反政府デモが国内各地で続いて政情不安に陥っていることを受け、11月16、17日に首都サンティアゴで予定されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開催を断念すると発表した。同じく12月2~13日に予定された国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)開催も取りやめる。

APEC首脳会議は1993年の米国での初開催以来、毎年開かれてきた。主催国が開催を断念するのは初めて。日程が差し迫っており、代替地確保は困難な情勢だ。サンティアゴでは2004年にAPEC首脳会議が開かれたことがある。

ピニェラ氏は、直前の取りやめがAPECとCOP25に与える影響に遺憾の意を表明。「大統領として、チリの問題や関心を最優先にしなければいけない」と内外に理解を求めている。

チリでは18日以降、サンティアゴの地下鉄運賃値上げをきっかけに、貧富の格差に不満を訴える反政府デモが過激化。各地で暴動に発展した。ピニェラ政権は各地に非常事態宣言や夜間外出禁止令を発出。1990年にピノチェト軍政が終わって以来、初めて軍を市街地に治安展開する一方、値上げを撤回し閣僚を入れ替えるなどして沈静化を図った。

しかし、抗議行動は収まらず、28日に非常事態宣言を撤回した後も不安は続いている。地元メディアは、一連の抗議行動に関連する死者は全国で20人に上ったと報じた。リベラ外相は24日、両会議の予定通りの開催を請け合っており、チリ政府の対応に批判が集まりそうだ。

21カ国・地域の首脳が参加するAPECの場ではさまざまな2国間会談も計画されていた。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は米中貿易協議の「第1段階」の合意文書への署名も調整していたとみられるが、練り直しとなる。ロイター通信によると、ホワイトハウスもチリの決定を報道で知ったとして、当局者が驚きを表明した。

これに先立ち、ロシアは30日、プーチン大統領のAPEC首脳会議欠席を発表していた。タス通信によると、ペスコフ大統領報道官は、欠席の理由は「国内行事と国内問題に対処するため」と語り、チリの暴動が理由ではないと説明した。

安倍晋三首相とプーチン氏は9月のロシア極東ウラジオストクでの首脳会談で、APEC首脳会議の際に再び会談することで合意していた。年内に予定された日ロ首脳会談が見送りになったことで北方領土交渉の停滞感は強まりそうだ。

会談する安倍晋三首相(左)とロシアのプーチン大統領=9月5日、極東ウラジオストク(AFP時事)会談する安倍晋三首相(左)とロシアのプーチン大統領=9月5日、極東ウラジオストク(AFP時事)

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