米中摩擦、地方に影=減産でブラジル人流出―「日本社会入りたい」・島根県出雲市

社会

米中貿易摩擦が、地方都市の雇用に暗い影を落としている。島根県出雲市では大手企業の工場が減産に踏み切り、職を失った日系ブラジル人が次々と市外に流出。市は定住促進に腐心するが、単純労働で日本語ができない人も多く、受け皿探しも難航している。

2018年の外国人の人口増加率が全国1位だった島根県で、出雲市にはその半数が暮らす。しかし、19年5月に4950人いた外国人は半年で400人以上減った。電子部品を製造する大手企業の関連会社が米中摩擦の長期化に伴う海外経済の減速を受け、工場での生産を調整。勤務日の減少や雇い止めで、530人のブラジル人が市を去ったことが要因だ。

5年前からこの工場で働く日系3世の東ファビオさん(36)は2カ月ごとに更新してきた派遣契約を11月末に打ち切られ、「人生設計が大きく変わった」と嘆く。母国から呼び寄せ小学校に通う2人の子どもには日本人の友達ができ、自宅に遊びに来るようになった。「工場では日本語を話す機会がなかったが、これからは日本社会の中に入って働きながら言葉も学びたい」と就職活動を続けている。

市は、60年の目標人口を現状より2万人減の15万人としている。過疎化を食い止めるため、外国人を「新たな地域の力」(長岡秀人市長)と位置付け、日本語教室や就農支援を通じ定住を促進してきた。

市内には人手不足に悩む中小企業もあるが、言語や技能などへの不安から外国人雇用のニーズは高まっておらず、市はミスマッチを解消するため合同説明会も予定している。

日本政策金融公庫研究所の竹内英二特任研究員は「外国人の単純労働は、スキルが身に付きづらく再就職も難しい」と指摘。「行政と人手不足に悩む企業が連携して技術指導を行い、訓練が終われば就職できるという見通しを立てて支援していくべきだ」と話している。

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