小笠原でカカオ栽培成功=返還後に移住、荒れ地開墾―「日本で不可能」乗り越え

社会

チョコレートの主原料となるカカオの栽培が小笠原諸島(東京都小笠原村)で成功し、「東京カカオ」と銘打ったチョコが2019年秋から販売されている。栽培するのは、母島で農業を営む折田一夫さん(71)。日本では難しいとされてきたカカオ栽培だが、製造を手掛ける平塚製菓(埼玉県草加市)とタッグを組み、10年の歳月をかけ成功させた。

折田さんは1948年、東京都大田区で生まれた。両親は44年、強制疎開で母島から都心に移った。小笠原諸島は戦後、米軍統治下に置かれたため、折田さんは20歳前後まで本土で過ごした。

68年の返還後に母島への移住を決めたが、戦後に無人島となった島は荒れ果て、ジャングルと化していた。漁業などで食いつなぎながら開墾し、後に特産品となった島レモンやマンゴーなどの栽培を島で初めて手掛けた。

カカオ栽培のきっかけは10年、平塚製菓の平塚正幸社長との出会いだった。「カカオを日本で育てたい」という夢を持っていた平塚社長は、母島の農場にカカオの種を植えたが全滅。折田さんに協力を依頼した。

カカオは西アフリカや中南米、東南アジアなど赤道の南北緯度20度以内、年間平均気温27度以上の高温多湿な地域が栽培に適するとされる。折田さんは「どの論文や本を読んでも『日本では絶対に作れない』と書いてあった」と振り返る。

栽培に当たり、台風による暴風や塩害などに耐えられる特注のビニールハウスを整備。日射量や温度の調節など試行錯誤を経て、13年に初めて収穫し、15年にはフルーティーな味わいのチョコが誕生した。19年は約500本の木から1トンほどのカカオを収穫できた。

「栽培は難しいが、多くの失敗からノウハウを積み重ねた。自信を持っている」と話す折田さんは、「収穫量を徐々に増やして、新たな特産物にしたい」と意気込む。

チョコは1箱2枚入りで3000円(税別)。ホームページ(https://tokyo―cacao.com/)で購入できる。

小笠原諸島の母島でカカオを育てる折田一夫さん=2019年11月、東京都小笠原村小笠原諸島の母島でカカオを育てる折田一夫さん=2019年11月、東京都小笠原村

小笠原諸島・母島で栽培されたカカオで作ったチョコレート「東京カカオ」=2019年11月、東京都小笠原村小笠原諸島・母島で栽培されたカカオで作ったチョコレート「東京カカオ」=2019年11月、東京都小笠原村

小笠原諸島・母島で栽培されたカカオを使ったチョコレート。「東京カカオ」と銘打って2019年秋から販売されている小笠原諸島・母島で栽培されたカカオを使ったチョコレート。「東京カカオ」と銘打って2019年秋から販売されている

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