フランス語で狂言、地元民魅了=日本での再評価期待―和泉流・小笠原氏

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【パリ時事】約650年前の室町時代に誕生した狂言は、能と合わせた「能楽」として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に指定されている日本の伝統芸能の一つ。日本人でも「分かりにくい」と敬遠しがちだが、能楽師狂言方和泉流の小笠原匡氏(54)は、フランス語を交えた公演を通じてパリで狂言の普及を目指している。

フランスは日本に次いで世界で2番目に漫画の読者が多いとされるほど、日本文化が人気だ。狂言は歌舞伎や落語などに比べフランスでの知名度は低いが、小笠原氏は「フランスで狂言が知られるようになれば、逆輸入され日本でも再評価されるのでは」と期待する。

2019年10月、パリで息子の弘晃氏(18)と共に2日間にわたり行った初の自主公演では、計600人近い観客の半数以上をフランス人が占めた。小笠原氏が滑稽な動きに合わせてフランス語で短いせりふを発すると、会場内は爆笑に包まれた。観劇した俳優のジル・ソーベストルさん(46)は「コミカルな動きと字幕で理解は簡単だった。とても面白かった」と語った。

「日本では一発芸などの短いお笑いがあふれ、スピード勝負になっている」。小笠原氏は「日本人にとって狂言は刺激が足りず、物足りないかもしれない」と分析する。一方で「風刺的な笑いを提供する狂言は、劇作家モリエールを輩出したフランス人の趣味に合っている」と指摘する。

小笠原氏は、文化の継承には「新しさと伝統の両方が必要だ」と力を込める。今後は年2回のペースでパリ公演を続けたいと話し、「いつかは全編フランス語で演じてみたい」と笑顔で語った。

パリで狂言を演じる小笠原匡氏(右)と息子の弘晃氏=2019年10月1日(主催者提供)パリで狂言を演じる小笠原匡氏(右)と息子の弘晃氏=2019年10月1日(主催者提供)

パリでインタビューに応じる小笠原匡氏=2019年10月3日パリでインタビューに応じる小笠原匡氏=2019年10月3日

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